昨年、中日・高木守道監督と権藤博投手コーチの投手起用を巡る口論が、『70’sバトル』とメディアを賑わせた。権藤博投手コーチは昨年限りで中日を退団し、現在は東海テレビ、東海ラジオの解説者を務めている。
9月7日、中日対ヤクルト戦では、権藤氏が解説をし、高木采配に辛辣な意見を述べた。
1回裏、6番・サードでスタメン起用された2年目の高橋周平が打席に入ると、アナウンサーが「高木監督が辛抱強く使っています」と話すと、すかさず権藤氏がこう言い放った。
「辛抱強くというか、能力からいって当たり前じゃないですか(笑)」
2年前のドラフト時、1位指名で3球団が競合した末、獲得した高橋を使うのは当然とブッタ斬ったのだ。
テレビ中継はなんとなく耳障りのしない、当たり障りのない言葉ばかりを求める傾向にあるため、アナウンサーも「高木監督が辛抱強く使っています」とプラスの表現を使ったのだろう。
3回裏、1番・大島洋平が打席に立つと、アナウンサーが「一時は藤井にポジションを奪われました」と、今季大島が不振に苦しんでいることを伝えた。
すると、権藤氏は「藤井を使う方が、どうかしていると思いますけどね」と、高木采配に突っ込みを入れ、こう説明した。
「藤井がどうと言うんじゃないですよ。大島ほどの選手を外すべきじゃないんですよ。大島も外されたり、出たりするんじゃ打てなくなるでしょ」
昨年、打率3割1分を残し、ベストナインに輝いた大島を固定して起用すべきと苦言を呈した。権藤氏は高木采配に対し、一貫して、取っ替え引っ替えせずに我慢しての起用を訴えている。
このような権藤氏の解説に対し、「批判ばかりしても仕方ない」などという意見も見られるが、批判ではなく批評だろうし、「批評なきところに成長なし」とは言えないか。
おざなりな意見ばかり言って、その場を取り繕う解説者が目立つ中で、非常に気持ちの良い直言をするため、権藤氏の解説を好む層も多数いる。
自分に心地よい言葉ばかりをかける人が、良い人なのか。厳しくても、本音で語る人が良い人なのではないか。
口うるさい権藤投手コーチを解雇し、年下のイエスマン部下ばかりを集めた高木中日。今年の低迷を見るにつけ、そう思えて仕方ない。
※写真は権藤博著『教えない教え』(集英社)より
【関連情報】
権藤博『教えない教え』
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