9月に入り、朝方はさわやかな風を感じられるようになりました。読書の秋。スマホを触る時間を、少しだけ本を読む時間にあててみませんか。今回は、多くの女性ファンを魅了する谷村志穂さんの『冷えた月』を題材にさせていただきました。谷村さんは、『結婚しないかもしれない症候群』や『海猫』などの著者で、多くの作品が、ドラマや映画になっています。女性の心理や立場を細かく描写なさっている谷村さんからお知恵を拝借。女性のみなさんが、素敵な恋愛ができますように、アドバイスさせていただきますね。
■作品の紹介
『冷えた月』は、2006年に出版された長編小説『静寂の子』を改題し、 2009年に出版されました。主人公は仁村靖季と百合香夫婦。札幌で、自然と触れ合う塾を運営していますが、ある日、参加していた男性が亡くなってしまいます。
男性の死は、塾の責任者である自分に責任があると感じた靖季は、お詫びの気持ちから亡くなった男性の妻の元に訪れるようになりますが、ヒステリックで人を許せない性格の百合香とは対照的な未亡人の理津子に惹かれていきます。
夫の心が離れていっていることに気づいた百合香は、動揺したり落ち着きを取り戻したりを繰り返しながら、苦しい時間を過ごします。しかし、入院中の夫が、病院を抜け出してまでも理津子と二人きりで、あの海にでかけたことを知り、こう自分に言いきかせるのです。
靖季がそうして逃げていくばかりなのなら、自分の方が鎮まってやろうと思った。(略)靖季を失ったら、もう何もない。
―『冷えた月』(谷村志穂/新潮文庫)
この少し前、靖季はある場面で「百合香なら、どうするつもりなのか、何を考えているのか答えてほしいと責める。責められるうちに、自分は心を閉ざしてしまう。信じてさえもらってたら、たとえしばらく遠ざかったとしても、必ず戻っていくはずなのに」と言っています。ヒステリックで厳しい百合香から、気持ちが離れていたのです。しかし、百合香の決心のあと、少しずつ二人の関係に変化が……。キーワードは、百合香が「待った」こと。恋愛において「待つ」ことの大切さを、次の3つのキーワードから考えていきましょう!
■「何で?」と聞きたいことに限って理由がない。
「飲み会で遅くなるって、何で連絡してくれないの?」「何でそんなに無神経なの?」男性を問いただしたいことは山積みでしょう。しかし、そのほとんどに大した理由はないのです。「仕事だから」「そういう性格だから」という程度にしか相手は思っていないのだから、責めても仕方ないのです。
■「分かってほしい」が強すぎると、男性にはヒステリックにうつる。
怒りがわきあがるままに相手に言いたいことを言い、泣き、そしてケロリと立ち直るというローテーションは、女性が大得意とする感情パターンですが、これは男性にとってはオカルトものの恐ろしさです。ついていけません。一連の流れをひっくるめて、ただのヒステリーだと思われかねませんので、落ち着いて話をするという姿勢が大切です。
■「待つ」ことに賭ける。
待ちましょう。恋愛でこじれた時、お互いが冷静になるまで、話し合いのタイミングが来るまで、なかば「賭け」だと思って待ってみましょう。これは、とても勇気と根性がいることですが、その結果、相手との関係がさらにうまくいくかも知れません。もしかしたら終わってしまうかもしれませんが、たとえそうだとしても何かを乗り越えたということで、潔く次の恋愛に踏み出せるはずです。
ラストでは、靖季は百合香のもとに戻っていきます。年齢を重ねても「待つ」ことは難しく、忍耐のいることです。ただ、これができれば選ばれる女性になれるのではないでしょうか。
※@nifty恋愛・結婚からの寄稿です。
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