いんやー近頃の北極はロシアにずんずん動いてるようですが、あの北極ってどれを指すんでしょうね?
地理的北極(geographical north pole)
北磁極(north magnetic pole)
地磁気北極(north geomagnetic pole)
以上3つの違いをザックリ説明した動画ができました。
これを見れば答えがわかりますよ。
[動画訳]
地理的北極(geographical north pole)
北極は地球の真上で、南極は地球の真下。だよね?
だけど地球は球なんで、実は上も下もない。
しかも完全な球でもなくて、宇宙でくるくる回ってる。
この地球が回る軸の片方は北極海に出る。これがロシアが海底に2007年に国旗を立てた北極で、「地理的北極(geographical north pole)」だ。
北磁極(north magnetic pole)
「年」とひとくちに言っても「太陽年(tropical year/365.242日)」、「恒星年(sidereal year/365.256日)」、「近点年(anomalistic year/365.260日)」で定義は異なるよね。あれと同じで、北極にもいろんな定義がある。
例えば、方位磁石が指す北。これは自転軸の中心の「地理的北極」ではなく、「北磁極(MAGNETIC north pole、磁北極とも)」と呼ぶ。
因みに北磁極は、磁石として地球を見た場合の南極(S極)だったりする(日本語ではS極と南極をわけてるけど、英語はどっちもsouth poleなので余計にややこしい!)。磁石は反対のものが引かれ合うから、地表の磁石のN(北)が指す先は地球のS(南)なんだ。
北磁極(地球磁石の南極=S極)と南磁極(地球磁石の北極=N極)は地核の鉄塊の対流電流が発する電磁だ。電流は地球自転の影響を大いに受けるため、そこから発せられる磁場も回転軸とほぼ重なる。
が、ピッタリ正確に重なるわけではないし、不変でもない。
約100年前の磁北極は北カナダで、地理学的北極点から2000km以上も南にズレていた。以来ずっと北西に動いてきており、現在は北極海のど真ん中、地理学的北極点から450km南まで迫ってる。今も毎年約55kmのスピードでロシアに動いている。
さらに磁北極の正反対が磁南極かと思いきや、そうでもない。磁北極と磁南極はなんというか、銘々勝手に動いてて、現在の磁南極(64°S)はなんと磁北極(86°N)より赤道に20°も近いのだ!
なんせ地球内部の奥深くでグジャグジャ(1:41)に動いてる溶鉄から発せられる磁場だから、こういう性質になっちゃうんだね。
地磁気北極(north geomagnetic pole)
グジャグジャの鉄じゃなく、真っ直ぐな棒磁石を地球にブスッと通したとして磁石のS極が指す北、これが「地磁気北極(north GEOmagnetic pole、北地軸極とも)」だ。
地磁気北極は現在カナダ最北部のヌナブト準州エルズミーア島にある。
地磁気北極と地磁気南極(こちらは正反対にある)は「双極子磁場(dipole field)」を生み、宇宙にまで作用を及ぼす。
方位磁針(磁北極を指す)では使えないから、地磁気北極は地表のナビではあんまり役に立たないけど、太陽風の粒子には大きな影響力を及ぼし、美しいオーロラを生むんだよ。
地球はポールダンサー
北極がどこかは結局、何を重視するかで変わる。
地球が回ってる中心は「地理的北極」-Geographic
方位磁石が指すのは「北磁極」-Magnetic
オーロラを生むのは「地磁気北極」-Geomagnetic
でもって、この北極御三家はどれも動いてる。
北磁極と地磁気北極は特に変化が激しいわけだけど、地理学的北極だって年10m動いてる。季節ごとに地球全体の気圧配置も変わるし、氷も溶けるし、その他諸々の理由で自転軸もぐらつくんだね。
仮にロシアが2007年8月にブスーッと国旗立てた海底がぴったんこ真北の地理的北極だったとしても、自転軸はぐらぐら回ってるから、ずっと外れっぱなし。ただの一度として北極を指してないことになる。
2009年には12mも離れてしまった。2010年には近づいたけど、20㎝までだった。今は大体3.5m離れてる。
地球はロシア国旗の棒につかまって踊ってる最大、最遅のポールダンサーだったんだね。
[YouTube]
satomi(JAMIE CONDLIFFE/米版)
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