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人気企画「キス我慢選手権」を奇跡の映画化! 『ゴッドタン』佐久間宣行プロデューサー「芸人の持っている誰も知らない箱を開けたい」

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今や日本を代表するバラエティ番組プロデューサーのひとり、テレビ東京の佐久間宣行氏。深夜番組『ゴッドタン』の一コーナーである「キス我慢選手権」を映画化させた彼の手腕と企画力の神髄に迫る!

■劇団ひとりの演技は本当にアドリブ?

―失礼な話ですが、「キス我慢選手権」が映画化されると聞いたとき、正直あまり期待していなかったんです。でも、いざ作品を観たら……まさかあそこまで壮大なストーリーになっているとは! しかも、ちゃんとテレビ版の要素は残っている。こういう見せ方の映画もアリなんだって思いました。

佐久間 映画だからってカッコつけず、テレビ版の一番面白いところを見せていこうと思ったんです。だから、基本的なコンセプトはテレビと何も変わっていません。

―映画化しようと思ったのは?

佐久間 「キス我慢」は過去に5回テレビでやって、いったんは企画を終了させているんです。それからしばらく時間がたって、もう一度動かしてもいいんじゃないかってなったときに、同じことをやっても芸がない。何かでっかいことをやろうと思い、映画化というアイデアが浮かんで。ダメもとで企画書を書いてみたら……。

―それが見事に実現!

佐久間 きっと、酔狂な大人が多かったんでしょうね(笑)。

―映画の一番の見どころは、主演の劇団ひとりさんの芝居です。テレビ版の頃から「劇団ひとりは全編アドリブ」という触れ込みですが……本当はシナリオがあるんじゃないかと疑っています(笑)。

佐久間 いろんな人にそう言われるんですけど、劇団ひとりは本当に何も知らされていないんです。この映画の撮影も、スタッフは全員「旅ロケです」と彼に説明していますから。ただ、事前に頬に特殊メイクで傷跡をつけたり、足をくじかないような靴を履いているかチェックしたりしていたので、「キス我慢」の撮影だってことは感づいていたみたいですけど(笑)。

―当然、映画だということも?

佐久間 知らせていません。というか、ストーリーはもちろん、ほかに誰が出演するのかも教えていませんから。斎藤工(たくみ)さんや京本政樹さんが急に出てきて、内心ビックリしたんじゃないかな。







―では、アクションシーンは? アドリブにしてはあまりに自然すぎると思うんですが……。

佐久間 アクションのプロの方たちが、派手に飛んでくれたおかげですね。劇団ひとりからすると、アクションが始まるまで自分が強い設定か弱い設定かもわかっていなかったはず。試しに拳を振ってみたら相手が超飛んでいった、みたいな。あれは演じていて、絶対に気持ちよかったと思いますよ。

―パートナー役の岩井秀人さんも存在感たっぷりでしたね。

佐久間 劇団ひとりがアドリブで動くので、共演者にはどんな展開になっても本筋に戻せる演技力があり、かつ自らもアドリブが利く役者が必要だったんです。岩井さんは舞台の方で、僕が天才だと思っている俳優さん。岩井さんをキャスティングできていなかったら、どうなっていたことか……。

―テレビ版の第1回から出演している、セクシータレントのみひろさんも好演していましたね。

佐久間 演技派ぞろいだったので、ある種の安心感はありました。とはいえ、撮影中は劇団ひとりがどんな行動を取るかわからないから大変。中継車2台、カメラ20台の大がかりな陣容だったんですが、それでもスタッフが足りなくて。裏ではバケツリレーのようにカメラを移動させていました(笑)。スポーツ中継さながらだったので、普通では撮れない、奇跡みたいなカット割りも多々あるんですよ。そんな臨場感ある映像も、ぜひ楽しんでもらいたいですね。

■『ゴッドタン』にハズレ企画はない?

―『ゴッドタン』は2005年にレギュラー放送がスタートしましたが、ここまで続いた秘訣は?

佐久間 どんな人気企画でも、出演者やスタッフが飽きたらスッパリやめてきたからだと思います。もともと、「キス我慢」ってボツ企画なんです。「キスなんて我慢できるだろ」とか、最初は誰も理解してくれなくて。頼み込んで、なんとか放送にこぎ着けたんです。

―まさかの大逆転(笑)。『ゴッドタン』は独創的な企画が多いです。どうやって考えるんですか?

佐久間 大まかにいうと、ジャンルから考えるか、ハネさせたい芸人から考えるかのどちらかですね。例えば「照れカワ芸人更生プログラム」という企画なら、オードリー・若林正恭(まさやす)の「はにかんでなんでも許してもらう空気」をナシにすると面白いんじゃないかというところから発展させて、若林を追い込んでいくにはどうすればいいだろう→若林が一番苦手なのはガンガンくるアイドルだな→じゃあ、ももいろクローバーZと共演させよう……みたいな。当時、ももクロはまだブレイク前で、「『ゴッドタン』で知りました」っていうモノノフもいるみたいですよ。







―ハズレの企画もありました?

佐久間 う~ん、この番組って企画がイマイチだなって思ったら、出演者がテーマを無視して違う方向にいって、ヘンな面白味を見つけてくれるんですよ。「芸能界視聴率キング」というクイズ企画をやったとき、それ自体は面白くならなかったんですけど、途中からゲストの蛭子能収さんが人の悪口をめっちゃ言い始めて(笑)。そんな蛭子さんを出演者みんなで叱る、という構成に急遽シフトしたら、かなり面白くなりました。

―おぎやはぎ、劇団ひとり、バナナマン……。これだけ豪華な出演者だと、確かに何があっても大丈夫そうです。

佐久間 その半面、暴走することが少なくなってしまった。それはスタッフにも言えることで、みんな“ちゃんと”するようになってしまったんです。だから今は、コントとしての出口を決めない、芸人に乱暴な企画を構想中です。

―最後に佐久間Pの今後の野望を教えてください!

佐久間 最近、テレビがつまらないっていわれたりしますけど、僕は10代の頃からテレビが大好きで、今だって10代のコが熱狂できる番組を地上波で作れると思っているんです。面白い若手芸人もホントに多いんで、『ゴッドタン』では芸人が内に秘めた“まだ誰も知らない箱”を開けていきたい。「上品芸人ハメ外しクラブ」という企画で、博多華丸・大吉の大吉さんが下ネタ暴言を吐いたときのように(笑)。芸人の新たな一面を発見できた瞬間って、本当に快感なんですよ!

(取材・文/高篠友一 撮影/井上太郎)








●佐久間宣行(さくま・のぶゆき)








1999年テレビ東京入社。現在、『ゴッドタン』のほか『ピラメキーノ』『お金がなくても幸せライフ がんばれプアーズ!』などを担当。今回の『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』で監督デビュー 【関連記事】
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