東京都議会選挙は、自民党の圧勝となった。我が街の東京・台東区では、自民党の現職で70歳のおじいちゃんと、民主党の新人でバリバリの2世議員が当選した。当然ながら、これでいいのか、とは思う。
だが、対抗馬は、自民と反対のことを言うだけ共産党の新人と、よく知らないみんなの党の新人。消去法で選ぶにしても、選択肢がないという悲惨な状況なのだから、この結果もやむなしということか。
この悲惨な状況を具体的に証明したのが、過去2番目に低かった投票率だ。今回の43.50%は、前回から10.99ポイントも下回った。その理由は、「参院選を占う選挙として注目されたが、争点が分かりづらく、有権者の関心が高まらなかった」(朝日新聞、2013年6月24日付)ことだと言える。
東京都の地方選挙であるのに、街頭演説や街宣カーから聞こえてくるのは、アベノミクスや消費税、そして憲法改正に関する是非ばかり。築地市場の移転をどう考えているのか。新銀行東京をどうするのか。そういった東京都独自の問題を語る候補者は、ほとんどいないという謎の選挙。「争点が分かりづら」いのは当然であろう。
昨晩、池上彰氏が東京MXテレビの選挙特番に出演しており、各党の都議選責任者に築地移転のことや新銀行東京のことなど、東京都独自の問題を争点にしなかった理由をたずねていた。しかし、それに対して明確な答えを持つ責任者は皆無。異常な光景がテレビに映し出された。
猪瀬直樹氏が都知事になってから、都議会はオール与党化している。猪瀬人気に異を唱える議員はおらず、風見鶏が議席に座り、都知事の言うことに「御意」と答えるだけの状態となっているのだ。オール与党では、争点など生まれないのもうなずける。
同日付の東京新聞が、社説で「公約を吟味し、自らの考えに近いよりましな候補者を選ぶ。政治を、暮らしを、少しでもよくするには、その地道な作業を我慢強くくり返すしかない」と書いている。有権者の都議選への無関心は、新聞の社説が「ましな候補者」と記してしまうことに象徴されている。
それでも筆者は、そんな東京で暮らし続けるのではあるが。
(谷川 茂)
※写真は自由民主党公式サイトより
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