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何トンもの塩で描き、そして崩す。日本人の追憶インスタレーションが米国でも話題に(動画あり)

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たった一つの表現媒体に情熱を注いでキャリアの大部分を過ごすアーティストはたくさんいます。ジェームス・タレル(James Turrell)さんにとってのそれは、。エル・アナツイ(El Anatsui)さんにとっては、プルタブ。そして最近、ミント美術館やモントレー美術館でも展示が公開された47歳の日本人アーティスト、山本基(やまもと・もとい)さんにとっては、食塩がその媒体です。

山本さんの作品は、古いヒンドゥー教や仏教で瞑想のために描かれる曼荼羅(マンダラ)の要素を取り入れています。曼荼羅は、瞑想のかたちとして生み出され、完成したそばからかき消されてゆく。はかなくも短い命なのです。

作品は、たいていギャラリーの床に山本さんが座り、ペンとして機能する食塩ボトルを手にした瞬間から始まります。塩で絵を描いてゆくフェーズは数週間かかりますが、一般客がその創作過程を見ることもできます。展覧会が公式にスタートすると彼は描くのをやめ、展示終了のタイミングで再び一般客を招き入れます。そして今度は、その塩を一緒に回収して、みんなで海へ還すのです。

塩(もっと一般的には砂)は長い間、古式マンダラを作るために使われてきました。しかし山本さんにとって塩は日本の葬儀における重要な部分を表現しており、より深い意味が存在しているとのこと。彼は1996年まで、一般的な油絵画家として活動していました。そう、彼の妹が亡くなり、彼の作品が根本的に変わるまで。「常世の杜」「海に還るプロジェクト」といったタイトルからも分かるように、彼は追悼のシンボルとして、塩だけで建築空間に絵を描き始めました。

「塩を使って迷宮を描くことは、自分の記憶を辿るようなものだ」と彼は語ります。「描くという行為の終着点に僕が探し求めているものは、大切な記憶に触れるという感覚かもしれない」と。

辛い出来事を何度も何度も追体験するというのは、想像しがたいことかもしれません。でも彼にとって、これらの絵はある種の瞑想…良いことも悪いこともひっくるめた思い出を風化させない方法の一つなのでしょう。

モントレー美術館では、山本基さんによる塩の芸術「Return to the Sea」を8月25日まで展示。美しいドキュメンタリー映像も見ごたえがありますよ。ちなみに、2011年からの作品をご参考までにどうぞ。


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「常世の杜」2011年


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山本さんが今年の春先にミント美術館で製作した作品。

その後、3月3日に壊されていく様子。


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今年6月にモントレー美術館で製作中の山本さん。


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KELSEY CAMPBELL-DOLLAGHAN(Rumi 米版)

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