お笑いコンビ・浅草キッドの水道橋博士が、小粋なことをやった。2013年6月15日に放映された『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)に出演した水道橋博士が、番組後半で途中退席したのである。
6月15日付のデイリースポーツによれば、同番組には橋下徹大阪市長も出演した。同番組で、6月「1日の放送時、橋下氏の発言について視聴者電話投票を実施した際『問題なし・7713票』『問題あり・2011票』との結果が出た」と言う。この結果について、番組内で橋下氏が「『やはり有権者の方は冷静だなと。小金稼ぎのコメンテーターとは違う』と居並ぶコメンテーター陣に勝ち誇ったように述べた」。
この橋下発言に対し、水道橋博士は「『橋下さん、冒頭で小金稼ぎのコメンテーターと言われたんで、ぼく今日で番組降ろさせていただきます』とぶぜんとした表情で席から立ち上がり、『(小金稼ぎとは)違います。それでは3年間、ありがとうございました』と右手を挙げてスタジオから退場した」のである。
6月16日付の同紙が続報を掲載しているのだが、これが面白い。この退席騒動が、実は「橋下氏が過去にTBS系『サンデー・ジャポン』放送中に降板宣言をし、途中退席したことを『パロディーで再現した』」とラジオ番組で述べたのだ。そして、「あくまで芸人としてパロッた行動で、結果的に意図した笑いではなく、降板騒動に発展してしまった事を“反省”」していると水道橋博士は付け加えている。
同日付の産経新聞によると、橋下氏は「15日夜、自身のツイッターで『撤回します。すみませんでした』と謝罪した」。ツイッターって、こういう使い方をするものなのだろうか? それはさておき、水道橋博士の「パロディー」発言と橋下氏の謝罪で、この一件は幕を引くことになりそうだ。
この騒動を振り返ってみると、まず驚きなのが「問題なし・7713票」というアンケートの数字である。橋下発言には問題があったから、世間で騒がれていたわけで、それでも問題がないと言うのは、「世間で騒がれていたが、それはなかったことにしよう」という姿勢にも受け取れる。つまり、「臭いものに蓋」という話である。蓋をしていいのか?
それと、思っていることをそのまま口にする橋下氏のような人を「ストレートだ」とか「辛口」、「正直」などと評価する人がいる。だが、話題の対象となる人が不快になるようなことを、不快になると想像できず口に出してしまうのは、ただの想像力の欠如であり、分別がないことの証でもある。
水道橋博士は、そのことを橋下氏に気づいてほしいと願い、途中退席という小粋なパロディー劇を演じた……。筆者にはそう思えるのだが、読者のみなさんはいかがであろう。
(谷川 茂)
※写真は水道橋博士の『博士の悪童日記』より
【関連情報】
水道橋博士の『博士の悪童日記』
http://blog.livedoor.jp/s_hakase/
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