宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』が7月20日に公開される。5年ぶりということ以外にも、主人公・二郎の声を映画監督の庵野秀明氏が担当することで注目を集めている。庵野監督は、実写映画にも何作か出演しており、『恋の門』(2004年・松尾スズキ監督)では妻の安野モヨコ氏と旅館の夫婦役を、『さくらん』(2007年・蜷川実花監督作品)では遊女屋の客役を務めているが、主演声優を務めるのはこれがはじめてとなる。
古くはアルフレッド・ヒッチコック監督で知られるカメオ出演は、「監督、何やってるんですか」と、映画ファンには嬉しい演出だ。スティーブン・スピルバーグ監督が『ブルースブラザーズ』(1980年)や『バニラ・スカイ』(2001年)に出演したりと、ハリウッド作品の世界では大御所もカメオ出演しているが、邦画の世界でももちろんある。
庵野秀明監督による実写映画『式日』(2000年)では、『スワロウテイル』(1996年)や『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)などで知られる岩井俊二監督が主演を務めている。
物語の舞台は、庵野監督の出身地でもある山口県宇部市。主人公のカントク(岩井監督)が、寂れた街並みを歩く姿が印象的な作品だ。“芸術性の高い作品”と評されることも多く、テレビアニメ版『エヴァンゲリオン』最終話などにみられる庵野監督独特の世界観が全面に出ているが、主演の岩井監督の影響も強く受けている部分も多い。
橋本愛主演の映画『さよならドビュッシー』(2013年・利重剛監督)には、堤幸彦監督が「友情出演」というかたちで、ピアノコンクールの審査員役として出演している。両氏は、テレビドラマ『金田一少年の事件簿』(1995~96)などで仕事をした旧知の仲であり、今回の出演は利重監督の声がけにより実現したという。
今年、嵐の櫻井翔主演で人気を集めたテレビドラマ『家族ゲーム』だが、1983年に公開された映画版(森田芳光監督)には故・伊丹十三監督が出演している。この作品のあと、『お葬式』(1984年)から映画監督としての活動が活発となり、数々の名作を世に送り出している。
『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(2007年・三池崇史監督)には、『レザボア・ドッグス』(1992年)や『キル・ビル』(2003年、2004年)などで知られるクエンティン・タランティーノ監督が出演している。黒澤明の「用心棒」やイタリア製西部劇であるマカロニ・ウェスタンなどへのオマージュにあふれた作品で、三池監督からのオファーに応じて出演を決めたという。
お気に入りの映画を見返してみると、意外なところに有名映画監督が出ているなんてことがあるかも。 <文/林健太>
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