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マジメな人ほど、自分を批判してしまうもの。もっとうまくやらなきゃ。遅れを取っちゃダメ。そんな、自分に厳しい人が親になると、いちばん傷つくのは我が子だったりします。
自分は気を付けているから大丈夫。なんて他人事だと思っているあなたでも、無意識のうちに我が子を傷つけてしまっているかもしれません。ブログ「Hands Free Mama」の著者、レイチェル・メイシー・スタッフォードさんは、自身の経験から、常に我が子をコントロールし、指示を与え、批判をすることの弊害を切に訴えています。
あの頃、私の心の中には鬼コーチがいて、何もかもを完ぺきにこなすよう、私にプレッシャーを与え続けていました。自分の身体や家、残した成果が、十分だった試しはなかったのです。そんな風に、達成できない基準を常に自分に課していたため、気付かぬうちに心の中に不安がたまっていたのでしょう。やがてそれが溢れ出し、もっとも愛すべき存在に降りかかってしまったのです。
そう、そのあおりを受けたのは、ほかでもない我が子だったのです。
長女があたりを散らかせば、私は失望のあまり首を振りました。
長女が忘れものをすれば、必ず大げさに騒ぎ立てました。
こぼす、汚す、壊す、置き場所を間違えるなどをしでかせば、「私は世界で最悪のミスを犯したのだ」と思うまで責め立てました。
これは書くのも辛いことですが、長女が転んでケガをすれば、「予定が狂う」とばかりに、イライラしながら大きなため息をついたものです。彼女は、挑戦することも、失敗から学ぶことも許されなかったのです。
ある日、レイチェルさんが姉妹から目を離している間に、妹の泣き声が聞こえてきました。レイチェルさんは2人のもとに駆け寄り、無意識のうちに長女を激しく叱責しました。落胆して涙を流す長女、たまたま居合わせた実母の悲しそうな目...。実際のところ妹は、滑って転んだだけだったのです。それを言い訳するでもなく、長女はただひたすら、自分が悪いんだと思っていたに違いありません。そこでレイチェルさんは、自分のしてきたことの重大さに気付きました。
私は、長女が泣き伏せているベッドに腰掛け、これまで誰にも言ったことのないような言葉を話し始めました。自分自身にさえも。
「お母さんね、頭の中で、自分を悪く言うことがよくあるの。つい自分を責めてしまうのよ。自分を責めれば責めるほど、気持ちが暗くなって、人にも厳しくあたってしまう。特にあなたにね。こんなの良くないこと。だから、もうやめる。どうやったらやめられるかわからないけれど、とにかくもうおしまい。今まで本当にごめんね」
私は泣かないようにしながら、そう誓いました。
その後、長女はみるみる生きる喜びを見出し、笑顔を見せるようになったそう。レイチェルさんはこれを「Stop! Only love today」テクニックと名付け、著書に記しています。子どもには「反応」するのではなく、ひと呼吸置いて、不完全な生き物であることを認めてあげることが重要なのです。完璧を求めず、最大限の愛を示してあげましょう(特定の状況では確固たる制限が必要であることには変わりありません)。
親であることは、旅に似ています。それは、人生が大きく変わり、魂が揺さぶられ、忍耐力が試される旅です。レイチェルさんが主張するように、自分への厳しさ、我が子への厳しさを緩めることが、その旅の燃料になります。後戻りのできない、1度きりの旅だもの。完璧主義を捨てて、これからの旅を思いっきり楽しんでみませんか?
The Bully Too Close to Home | Hands Free Mama
Melanie Pinola(原文/訳:堀込泰三)
Photo by Iakov Filimonov.
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