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福島第一原発事故の作業員は給料をピンハネされていた!

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4号機の使用済み核燃料取り出しが始まり、事故処理の大事な局面に入った福島第一原発(フクイチ)だが、その収束作業に必要な作業員の人員確保が、「低賃金のために厳しい」という話が出ている。

それほどまでに、フクイチの作業員は低賃金なのだろうか?

東電は事故以降、「防護服の着用や高線量下での作業など、厳しい作業環境や作業条件を考慮して(中略)割増した工事費にて請負契約を締結している」(東電総務部広報グループの回答)と強調している。つまり、高線量の被曝を伴う作業に従事する人たちには「危険手当」がつくということだ。

具体的には、フクイチ内の事故収束作業と、国(環境省)が直轄で行なう高汚染地域での除染作業に限り、1人当たり1日1万円(東電は12月以降、2万円に増額するとした)が支給されることになっている。これは給料とは別枠に、環境省からそのまま作業員に支払われる手当といっていい。

だが、原発事故発生後、潜入取材を兼ねて2012年春からフクイチで働き始めたジャーナリスト・桐島瞬さんの日給は当初、1万円。つまり、桐島さんに支払われていたのは事実上、危険手当分だけとなる。

福島県内のハローワークで見つけたというこの仕事、桐島さんを雇用していたのは4次下請け(=玄孫[やしゃご]請け)のプラントメンテナンス会社である。

「しかも、働いているうちに雇用保険や労災保険などの名目で日給が目減りし始め、1年近く働いた後に辞める時には9000円近くにまで下げられました。最後は危険手当からもピンハネされていたことになります」(桐島さん)



もうひとつの「高線量の被曝を伴う作業」である、除染作業の現場でも、同様のピンハネは行なわれていた。昨年7月中旬から楢葉町で環境省直轄の除染作業に従事したAさん(30代)もまた、ハローワークを通じて応募し、採用された。日給は1万円で、仕事の元請け会社はゼネコン大手の清水建設。福島県内にある2次下請け(=孫請け)の土建会社が直接の雇用先だった。

しかし、説明の際に会社から示された、危険手当の額が記入された資料を見ると、なぜか人によって相当な差がある。Aさんに対する危険手当の総額は2万2000円。7月は11日間仕事をしており、1日当たり2000円の手当になり、そのピンハネ額は8000円だ。

一方で、なかには「総額」で2000円という同僚や、10日間勤務でたった1000円という人もいた。3次下請け(=曾孫[ひまご]請け)から派遣されたという彼らの危険手当は1日当たり100円から200円弱。つまり、9800円から9900円もピンハネされていたことになる。

下請け会社はAさんらに対し、金額欄が空白のままの領収書にサインをさせていたという。これはピンハネをごまかすための悪質な小細工であり、国を相手に詐欺を働いているのも同然だ。

事故からの2年9ヶ月で、フクイチの事故収束作業に従事した作業員は、のべ約230万人。本来なら作業員に支払われるべきお金のうち、いったいどれくらいが搾取されてしまったのか、想像もつかない。

(取材/明石昭二郎とルポルタージュ研究所)

■週刊プレイボーイ1・2合併号「福島第一原発作業員“給料ピンハネ”悲惨すぎる実態」より 【関連記事】
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