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戦前から日本は「スパイ天国」だった!

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国際政治における“情報”の重要さは、いまさら言うまでもないだろう。成立したばかりの特定秘密保護法も、国家の安全保障に関わる“情報”を守るのが目的だ。

しかし、日本の情報管理の杜撰(ずさん)さは、これまで何度も海外から指摘されてきた。ドイツのDPA通信も「日本は穴だらけの情報管理体制を嘲笑(ちょうしょう)され、スパイ天国といわれてきた」と報じたことがあるほど。

※スパイ活動=他国がなんらかの手段を用いて防衛機密や産業機密などを盗む行為

元時事通信社ワシントン支局長の小関哲哉氏は、戦前から続く日本の甘さをこう指摘する。

「日本は第二次世界大戦の開戦前後、すでにイギリスなどからマークされていた旧ソビエト連邦のスパイであるリヒャルト・ゾルゲを好き放題に国内で活動させてしまった。その体質は戦後も変わることなく、国家として情報・諜報活動をコントロールする機関を設置する法律すら作らずにここまできた。今回の日本版NSC(国家安全保障会議)発足で、形式上はようやく世界の主要国と同じスタートラインについたものの、政治家や官僚を含む重要情報を扱う人々の根本的な意識が変わるのには、まだまだ時間がかかるでしょう」

こうした甘さを突いて、冷戦時代から日本で活発にスパイ活動を展開していたのがロシア(旧ソ連)だ。諸外国のスパイ事情に詳しい防衛省OB(元情報セキュリティ担当)が、匿名を条件にその実情を明かしてくれた。

「ロシアが各国に置く大使館は情報機関SVR(ロシア対外情報庁、旧KGB)の隠れみのであり、スパイ活動の前線基地。一説には、ターゲット国に常駐する大使館員の半数以上が情報機関員ともいわれる。相手国の人間を情報収集のエージェントに使うのがロシアの特徴で、エージェントの獲得人数が情報機関員の評価基準となっています」



例えば、元陸上自衛隊調査学校副校長の陸将補が、数年間にわたりソ連軍の情報機関GRUの大佐に機密情報を流し続けた「コズロフ事件」(1980年発覚)。海上自衛隊の現役三等海佐が、ロシアの駐在武官に護衛艦の性能をまとめた機密文書を横流しした「ボガチョンコフ事件」(2000年発覚)。これらも、自衛隊関係者がエージェントとなって情報が漏洩したケースだ。

「慎重かつ巧妙に、対象となる人物の弱みを利用するのもロシアのスパイ工作の大きな特徴。ボガチョンコフ事件では、海自の三佐の息子が重い病気だったという点につけ込み、最終的には商品券や見舞金を渡すことでエージェントに仕立て上げました。2008年に発覚した内閣情報調査室スパイ事件では、実に3年半もの時間をかけて内調職員を籠絡(ろうらく)し、エージェントとして獲得した。その職員は不本意な人事異動に不満を募らせており、そこにロシアの情報機関員が『あなたのように能力を持った人がもったいない。もっと能力を発揮できる仕事がある』と持ちかけた。職員の置かれた状況をすべて把握した上でリクルートしたわけです。もちろん対象は公務員だけではありません。2000年以降、こうした手法で大手電機メーカーなど民間企業の機密情報を狙うスパイ事件が、わかっているだけでも数件起きているのです」(防衛省OB)

スパイなんて映画やドラマのなかの話――、こうした日本人の意識を変えることが、実は最優先かもしれない。

(取材/世良光弘、興山英雄)

■週刊プレイボーイ52号「特定秘密保護法でも防げそうにありません(涙)。スパイ天国・日本のダダ漏れすぎる実態」より 【関連記事】
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