発売から約2か月が経ったものの、いまだ品薄状態が続いているiPhone 5s。日刊SPA!では、これまで都内を中心に通信品質の比較調査を行ってきたが、今回は観光地での電波調査を試みることに。11月になっても気温20度を超える暖かさの沖縄本島の通信事情を探ってみた。
【端末】iPhone 5s(ドコモ、au、ソフトバンク)
【場所】沖縄本島全域(観光地を中心に全37か所)
【日時】2013年11月14日~16日
【アプリ】通信速度測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」
通信速度以前に、沖縄では都市部とは異なり、基地局の密度も少ないことが予想されるため、LTEは使えるのか、そもそも電波は入るのかが懸念された。そのため、今回の調査では通信速度だけでなく、電波環境も詳細に調査してみることに。測定は、各地点の施設入口付近にて3台の測定開始ボタンを同時にタップ、3回の平均速度と最もよい電波状況を記録した。LTE・4Gに接続しアンテナ4~5本の場所を◎、1~3本を△、3Gまたは圏外の場所を×で整理すると、下記の表のとおりキャリアによって大きく差が出る結果となった。
⇒【調査結果】の詳細はこちら http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=540382
最も電波環境が良かったキャリアはau。◎が34か所、△が2か所、×が1か所と、調査範囲のほぼ全域でLTE接続が可能だった。下り速度が1桁だった地点も2か所のみで、ほかは10Mbps以上を記録し、平均速度も22.3Mbpsと3キャリア中最速。次いで健闘したのがドコモ。◎が13か所、△が15か所、×が9か所で平均速度は13.8Mbpsだった。ドコモはLTEのアンテナ本数の少なさが目立ったが、大きく速度が落ち込む場所は少ない。ソフトバンクは、◎が14か所、△が5か所、×が18か所で、平均速度は8.1Mbpsという結果に。LTE受信不可の場所が多く、平均速度でも2位のドコモにも大きく離された。
続いて地域ごとに比較するために、やや大雑把ではあるが、沖縄本島を南北に分けて結果の詳細を紹介する。まずは首里城、ひめゆりの塔、琉球村といった主要観光地を擁する南部から。
⇒【調査結果】の詳細はこちら http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=540381
南部は、那覇市の主要部を中心に人口の多い地域が多いため、いずれのキャリアも電波状況も通信速度も良好な地点が多い。30Mbpsを超える地点もあり、LTEの恩恵を十分に実感できる結果になった。ただし細かく見てみると、auは全地点で安定して10Mbps超えを記録、ドコモは3地点をのぞいて10Mbps超えを記録したのに対して、ソフトバンクは、3キャリア中最も通信速度が早い地点があるものの、速度のバラつきが目立った。
では、名護市を中心に最北端の辺戸岬、美ら海水族館、岬や島や牧場といった人口密集地から離れた地域ではどうか。
⇒【調査結果】の詳細はこちら http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=540380
沖縄本島北部でも、au→ドコモ→ソフトバンクという結果に。auは、3キャリアとも3G通信になった地点を除く全地点でLTE通信のアンテナ4~5(◎)を記録した。ちなみにドコモは5地点、ソフトバンクは4地点となった。また、LTE通信不可で3G・圏外となった地点(×)は、au1か所、ドコモ8か所、ソフトバンク17か所。LTEのエリアでは、3キャリアで大きく差がついた。
余談だが、滝壺で泳ぐこともできるという山奥のター滝では、ドコモとソフトバンクは圏外だったが、auはLTE5本で32.3Mbpsを記録した。以前、この場所では増水によって41人が取り残され、救助されるという事故があった。山奥で、遭難やケガなどのトラブル時に携帯の電波が入るというのは大事だろう。通信速度はもちろんであるが、それ以上に「圏外にならない」ことが重要だと再認識される調査であった。 <取材・文・撮影/林健太>
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