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核燃料取り出し作業における東電のドタバタぶりに不安の声

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ついに始まった東京電力による核燃料の取り出し作業。福島第一原発4号機の燃料プールにある1533本もの核燃料を、これから約1年間かけて取り出していくことになる。

当初の計画では、作業の開始は今年12月とされていた。ところが、11月中旬となり、さらに11月8日へと、どんどん前倒し。すると11月4日になって一転、今度は1、2週間ほど先送りする事態へと追い込まれてしまう。原子力安全基盤機構から、実際のキャスクを使って作業の安全性を確認する実証試験をしていないことを指摘され、急遽、実験をすることになったからだ。

一歩間違えれば3・11以上の被害が発生してしまう危険な作業にも関わらず、東電の動きは二転三転。原発事故直後から精力的に取材を続けるお笑い芸人、おしどりマコ氏が、こうしたずさんな対応を懸念する。

「東京五輪の招致が決まってから、福島第一原発ではすべての作業工程が前倒しで進められています。国際世論を安心させるため、原発事故の収束を急ぎたいという安倍政権の意向に配慮しているのでしょう。ところが、現場では作業員の数が足りず、原発で働いた経験のないような人まで駆り出されているありさま。その結果、ヒューマンエラーが多発し、汚染水への対処も後手後手に回っています。そんな状況なのに、燃料取り出しという極めて危険な作業がその手順や事故対策へのプランも十分に公開されないまま、急ぎ足で進められようとしていることに大きな不安を感じます」

福島県南相馬市在住のルポライター、奥村岳志氏もこう語る。

「福島第一原発では、作業員の一日の外部被曝線量が2ミリシーベルトに達するケースもあります。それで100ミリシーベルトの上限を超えれば、もう原発構内では働けない。線量の低い除染作業などに回るしかありません。これでは現場は技術のない作業員ばかりになってしまう。しかも、東電は燃料取り出し作業の全体像をすべての作業員には伝えていないそうなんです。ある作業員も4号機周辺で人の出入りが激しいと気づいていたものの、セクションが違うからという理由でその作業がなんなのか、教えてもらっていないとコボしていました。作業員の情報共有もないまま、1500本以上の燃料を一度もミスせずにすべて取り出すなんて、本当にできるのでしょうか」



原発構内で働く作業員にすら情報共有をする余裕のない東電だから、当然、周辺自治体とのコミュニケーションもない。福島県郡山市の滝田春奈市議会議員がこう憤る。

「11月初旬、燃料取り出し作業が始まると知って、市に問い合わせたんです。すると、国からも東電からも事前連絡はないとのことでした。当然、郡山市も万一の事故を想定した対策などはしていません。これには怒りを通り越してあきれました。情報をきちんと公開して、事故が起きた場合に住民の命や健康を守ろうという気が感じられません。3・11の原発事故時、放射能の影響を予測するSPEEDI(スピーデイ)の情報がいち早く公開されていれば、多くの住民が無用な被曝をせずに済んだ。ところが、その教訓を生かさず、国と東電は再び4号機プールからの燃料取り出し作業についての情報公開を怠っている。大問題です」

福島第一原発4号機の原子炉圧力容器設計者で、国会の原発事故調査委員会のメンバーも務めた田中三彦氏が苦言を呈する。

「確かに、4号機プールからの燃料取り出しは一刻も早くやるべき作業。大きな地震が来て、いつプールが崩落するかわからないからです。だから今、東電に求められているのは安全かつ早期の燃料抜き取り作業。しかし、現状では“早期”だけが実行に移され、安全性がきちんと担保されているかどうかは疑問のままなのです」

そんな東電の拙速ぶりを象徴するのが、前述の燃料取り出し作業の安全性に関する資料。東電が作成したこの冊子には次のような一文がある。

<万一キャスクが落下した場合には、作業員の退避を最優先する>

つまり、何もせずに逃げ出すということ。“万一”が起こらないことを祈るしかないのか。

(取材/姜 誠) 【関連記事】
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