9月に入り、ペナントレースも大詰めになってきた。球団初のクライマックスシリーズ進出へDeNAが調子を上げてきた。その陰で、サード・中村紀洋(40)が何度となく好守備でチームを救っている。
9月4日の阪神戦では、5回途中にピンチを迎えると、勝利投手の権利獲得目前の先発・加賀美が降板。6対2と4点リードの状況だったが、2番手・大田もランナーを返してしまい、3点差に。
嫌な流れのなか、DeNAを救ったのはノリだった。5番・新井貴浩の強烈なライナーをジャンプ一番で好捕。これまで何度となく、大量失点を重ねてきたチームだけに、逆転されてもおかしくない場面でのファインプレーは、値千金だった。結局、DeNAは8対3で、このゲームをモノにした。
9月6日の広島戦でも、ノリの好守備が光った。1回、先発・井納のコントロールが定まらない。ヒットと四球を2つずつ与え、押し出しで1点を先制される。なおも2死満塁。7番・木村昇吾の鋭い打球は、三塁横を抜けるかと思われたが、ノリが横っ飛びで防ぎ、一塁へ安定したスローイングで、ピンチを切り抜けた。このプレーで井納は立ち直り、プロ最長となる7回を投げ、1回の1失点のみに抑え、DeNAは広島との大事な一戦を5対4でモノにした。ノリの好プレーがなければ、井納はガタガタと崩れ、早い回でノックアウトされてもおかしくなかった。
ノリの特徴は、正確無比な送球にある。どんなに崩れた態勢からでも、ファーストの差し出すミットにピタリとボールが収まる。普通のゴロをさばいても、ファーストが背を伸ばして取るボールを放る内野手も珍しくない。ノリの安定した送球は12球団一といってもいいくらいだ。
また、試合中は、自分の守備だけでなく、全方位に気を配っている。
足の速いランナーが出塁すれば、ショートの梶谷隆幸に対し、腕で走るポーズをし、頭を指差す。「走ってくることを頭に入れろ」とジェスチャーで現しているのだ。また、ポジショニングを指示することもよくある。
梶谷は一塁ランナーが盗塁しても、二塁にベースカバーに入らないなど、打撃が好調になった今も、守備では時折、ポカが出る。ノリはそのことも考えた上で、何かと梶谷を気にかけているのだろう。
投手に声を掛けにいくのも、ノリの役目。特に若い投手のときは、頻繁にマウンドに行き、間をうまく取っている。
満身創痍で戦っているため、9月に入り、ノリはスタメンを外れることも増えてきている。だが、打撃だけでなく、守備においてもノリの代わりはいない。悲願のクライマックスシリーズ進出へ、中村紀洋の力は欠かせない。
※写真は『横浜DeNAベイスターズ』公式サイトより
【関連情報】
99 中村 紀洋 - 選手名鑑 | 横浜DeNAベイスターズ
http://www.baystars.co.jp/team/player/detail/99.php
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