説明しよう。
デジャヴ、日本語で言うと既視感。初めて来る場所、初めて見る物なのに、すでに前に体験したかのように感じること。「あれ、これどっかで」「あ、これ夢にみたことある」あの感じです。
すでにこれと同じことを体験しているような気がするけれども、そんなはずはない。ここは初めて訪れる街、これは初めて食べる物、彼は初めて会う人なのに…。では、デジャヴとは一体なんなのでしょうか?
Michael MolinaさんとJosh Harrisさん作によるこのアニメーション、TED Educationが上手にまとめて説明しています。
まず初めに、「デジャブ」が一体何なのか、それは現在でもよくわかっていません。これが正しいとされる説は、まだないのです。デジャヴという現象がいつどういう時に誰に起こるのかわからないため、それを研究するのもまた難しいからです。
deja vu(デジャヴュ/デジャヴ)という言葉は、1917年にフランスの超心理学者エミール・ブワラック氏が提唱して始まったもの。フランス語で「すでに見たことがある」という意味。それ以来、40以上の説が、この現象を解明しようと展開されてきましたが、未だに裏付けのある説はでていません。
が、その中でも特に有力だとされる3つの説が動画では紹介されています。「レストランにて、ウェイターが持ってきたパスタを落としてしまう」というシチュエーションを例にだして見て行きましょう。
説1:デュアルプロセス(Dual Processing)
パスタを落としてしまうウェイター。この一瞬の出来事を、例えばウェイターの動きや表情、パスタの香り等をそれぞれ記録し、それらの現象を総合して「おっちょこちょいウェイターの一瞬」として認識するわけです。もちろん、それぞれの記録は通常ならば互いに同期しています。
が、たまにその中でちょっと遅れて届いてしまう記録があるのです。フィルムリールがちょっと遅れて回るような、タイミングがずれてしまうような、そんな時があるのです。すると、ちょっと後に届いた記録(ウェイターの表情)に触れた時に「あ、これ見たことある!」と感じるのです。それもそのはず、ほんのちょっと前に、先に届いた記録(ウェイターの動きとパスタの香り)によってすでに体験していたからです。
説2:ホログラム説(Hologram Theory)
おっちょこちょいウェイターのいるレストランには、チェックのテーブルクロスがあったとしましょう。そして、このテーブルクロスと似たようなものを昔おばあちゃんの家で見たことがあったとします。脳では、全体像を表すのにその記録の小さな小さなひとかけらを保存しています。例えば、ホログラムの映像が小さな点から発せられる様に。
そこで、このテーブルクロスをレストランで見た時に、たまにそのひとかけらの情報から「これはおばあちゃんの家で過去に見たものだ」という全体像を認識するのに失敗し、「あ、これ前もあった!」と感じてしまうのです。本当は違うシチュエーションの違うテーブルクロスなのにね。
説3:分散した注意力(Divided Attention)
これは、1つのことを集中して見てしまうあまりに、周りのことが意識して頭にはいっていないという状況。例えば、おっちょこウェイターがパスタを落とした時に、下に落ちて行くフォークに気を取られていたとしましょう。その時には、もちろんつまづくウェイターやテーブルクロス、ちらばるパスタも目にはいっているのですが、それは無意識のうちであり、見たという意識はありません。ふと、フォークから注意を戻して全体を見た時に「あ、これ前にもあった!」と感じるのです。それはそうです、注意を払っていなかっただけで、すでに無意識で見ていたのですからね。
この3説は有力なだけで、まだ証明されたわけではありません。次、デジャヴを感じることがあったら、よく考えてみてください。説1かな、2かな、それとも3のパターンかな? もしかしたら、全く新しい説が浮かぶかもしれません。
[TED Education]
そうこ(CASEY CHAN 米版)
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