「やられたらやり返す。倍返しだ!」の決め台詞で社会現象にもなっているドラマ『半沢直樹』。欧米の研究機関で博士号を取得し外資系投資銀行でしか働いたことがない藤沢数希氏は、半沢直樹をどう見ているのか?
◆ドラマ『半沢直樹』の大ヒットで心配になる、日本のメガバンクの未来
(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
テレビの視聴率が年々低下するなか、TBSドラマ『半沢直樹』が大ヒットしている。視聴率は回を重ねるごとに上昇し、最終回では40%を超えるのではないかといわれている。僕はTwitterで金融関係の人を多くフォローしているのだけれど、タイムラインを見ていると、こうした人たちも「面白い」と口を揃えて言っていた。これはひょっとして『ハゲタカ』以来のすごい金融ドラマなのか、僕も見なければと思い、録画している友人を見つけて、ついつい全部見てしまった(第5話まで)。
しかし何が面白いのか全然わからない。僕は大学を卒業すると同時に海外の大学院に行って、その後は外資系投資銀行でしか働いたことがなく、日本の会社というか日本の銀行の理不尽さとか、そういう企業文化を実際のところよく理解していなかったからだ。当たり前だが外資にも理不尽な政治闘争はあるが、それはもっぱらカネをめぐるものであり、カネの奪い合いであり、わかりやすいものだ。
ところが半沢たちが何のために闘っているのかわからない。権謀術数を駆使して行内の政敵たちと争っているのだが、その政治闘争に勝ち抜けば、億単位のボーナスがもらえるわけでもない。さらに驚くことは、こうした闘争に敗れても、銀行ではクビにさえならないことだ。クビの代わりに、「出向」というのがあるらしいことがわかった。出向というのは、「雇用関係にある企業に在籍したまま、子会社や関連会社において業務に従事すること」を言うらしく、驚くことに、給料さえほとんど減らないのだ。
⇒【後編】に続く「半沢直樹を見るとメガバンクが心配になる」 http://nikkan-spa.jp/499757
【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは8万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中
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