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セルジオ越後の一蹴両断! 第310回「64年ぶりのW杯開催を控えたブラジルの盛り上がりに注目したい!」

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コンフェデ杯(ブラジル)が開幕した。注目はもちろん、日本代表の戦いぶり。ただ、個人的にはW杯開催を来年に控えた僕の母国ブラジルの盛り上がりにも注目している。

何しろブラジルでのW杯開催は1950年以来、実に64年ぶり。2016年リオデジャネイロ五輪の招致に成功したことからもわかるように、国がようやく大きな大会を開催できるだけの経済状況になったということだ。

前回のW杯開催当時、僕は5歳。テレビはまだないし、ラジオも各家庭にあるわけじゃなかったから、記憶は何もない。だから、大半のブラジル人にとって、来年のW杯は初めて地元で行なわれるW杯といっていい。そんな記念すべき大会を控え、ブラジル国内がどんな雰囲気になるのか。

日本の場合は、サッカーに限らず、スポーツの大きな大会があると、メディアや広告代理店が必死で盛り上げようとする。試合の中継をするテレビ局は朝から晩まで宣伝をする。でも、ブラジルのサッカーに関して言えば、宣伝なんて何もしなくても、国民は勝手に盛り上がる。試合が近づけば、各家庭のベランダや自動車にブラジル国旗が飾られる。

ただ、ブラジル代表が絡まない試合での盛り上がりは正直、予想がつかない。今回のコンフェデ杯も、開幕前に聞いたところによると、ブラジル代表の試合のチケットはあっという間に完売したけど、それ以外は売れ残ったそうだ。基本的にブラジル人はブラジル代表以外に関心がない。日本のように、他国のユニフォームを着て応援を楽しむという文化はないんだ。だから、来年のW杯でも試合によってはスタジアムがガラガラになるかもしれない。







そんなお国柄だから、ブラジル代表にかかる期待は大きい。来年のW杯優勝は絶対の使命。当然、コンフェデ杯も優勝がノルマ。優勝できなければ、スコラリ監督は解任されるだろう。

勝てばお祭り騒ぎで選手や監督は英雄扱いされるけど、負ければ徹底的にバッシングされる。それも日本との大きな違いだ。例えば、10年南アフリカW杯で日本はPK戦の末にベスト16で敗退したよね。そのとき、唯一PKを外した駒野に対して、どのメディアも「よくやった」「仕方ない」という論調だった。でも、ブラジルでは絶対にあり得ない。

ただ、逆に言えば、ブラジルでは選手や監督は常にそうした厳しい評価にさらされているから、コンフェデ杯やW杯だからといって、いつも以上にプレッシャーがかかるわけでもないのかもしれない。コンフェデ杯はスペイン、イタリアといった強豪国が、必ずしも100パーセントの意気込みで臨むわけではないだろうし、ブラジル代表には優勝のチャンスが十分あるはずだ。

最後に、ブラジルの治安面について。コンフェデ杯の取材に行く日本の報道陣の間で「南アより怖い」という声があるようだ。でも、僕はそこまでナーバスになる必要はないと思う。W杯など大きな大会の開催期間中は、入念なセキュリティ対策がされ、特にスタジアム周辺の警備は厳重。また、街中もガイドブックに書いてあるような危険な地域に踏み入らず、最低限必要な防犯対策さえすれば大丈夫。日本ほど安全な国は世界にないからビビる気持ちはわからなくもないけど、そんなこと言っていたら、どこにも行けなくなってしまうからね(笑)。

(構成/渡辺達也) 【関連記事】
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