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まさに国ぐるみ。
国から機密情報のおこぼれをもらうのと引き換えに米国家安全保障局(NSA)のデータ収集活動に協力して会社はPRISM 9人衆どころか、アメリカの技術、金融、製造メーカーなど数千社にも及ぶことがブルームバーグの調べで明らかになりました。
内部の情報筋4人が明らかにしたもの。アメリカのインターネット・電話会社の多くは機器の仕様や脆弱性などの情報を米政府3文字機関(NSA、CIA、FBI)および軍部に提供しているらしいのです。こちらはPRISMとは別口で、「Trusted Partners(信頼のパートナー)」プログラムと呼ばれています。
具体的な企業名一覧までは報じられていませんが、政府のデータ収集活動に鋭意協力中なのはハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカー、銀行、インターネットセキュリティ関連会社、衛星通信会社など多数。データは国家防衛だけでなく敵国の攻撃侵入にも使われているとのことです。
例えばマイクロソフトなどはバグ修正を一般リリースする前にバグを政府にいち早く教えているのだそうですよ。民間より早く対処できるというのが一応の建前ですが、その気になればアメリカ政府は海外政府に売りつけたソフトウェアの脆弱性を突いて侵入したりいろいろできるということになります。これはこの流れに詳しい人物ふたりからブルームバーグがとった話です。
また、米国内だと判事から令状がないと差し押さえられないようなデータや事業所へのアクセスもアメリカの電話会社は政府の諜報機関に自主的に提供している、と情報筋ひとりは語ってます。「外国諜報活動偵察法(Foreign Intelligence Surveillance Act:FISA)」というものがあるので合法なんですね、外国は。
さらにまた、アメリカにはNASAが巨額の予算を投じて開発した「Einstein 3」なるものがあり、もともとは米政府をハッカーの攻撃から守るため開発されたものなのですが、特定の環境ではメールの中身が丸見えになる仕様。まさに諜報にはピッタンコ。というわけでインターネット通信事業者はこれをインストールさせられているのです。
「こんなもの設営して通信傍受法違反にならないのか」と不安になった大手5社(AT&T、ベライゾン、スプリント、レベル3コミュニケーションズ、センチュリーリンク)が政府に一筆求めたところ、「これは法的には傍受と定義されない、よって民事訴訟の対象にはならない」という免責の書面が米司法長官の署名入りで届いたそうですよ。
[Bloomberg]
Image by Tischenko Irina/Shutterstock
satomi(JAMIE CONDLIFFE/米版)
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