史上最多の来場者数を記録した今年のコミケ。各通信キャリアは電波対策を重点的に行ない、「つながりやすさ」をアピールしていたが、そんなスポット的な対応の一方で、地下鉄内の電波対策も着々と進められている。東京メトロ・都営地下鉄では今年3月からトンネル内を含む全線がエリア化され、今や通勤時間にスマホをいじるのは当たり前になってきている。
とはいえ、各社のWebサイトを見る限り、エリア化は進んでいるように見えるが、実際のところ、本当に快適なデータ通信が行えるのだろうか?
そこで今回は、地下鉄内で、より安定かつ高速なデータ通信ができる通信キャリアはどこなのか? データ量を多く使用するということで、動画再生対決を試みた。対決の舞台は、エリア化が完了している東京メトロ・銀座線(日本橋-渋谷間・約18分)、高トラフィックが予想される通勤ラッシュ時間帯の満員電車だ。
利用した端末は、以下の2013年夏モデルのAndroidスマホとiPhone5。
【au】HTC J One HTL22
【ソフトバンク】AQUOS PHONE Xx 206SH
【ドコモ】Xperia A SO-04E
【au】iPhone5
【ソフトバンク】iPhone5
視聴した動画は、Ustreamで配信されているHD画質の「NASA TV」と、標準画質の「PBS NewsHour Stream」の2つの動画(ライブ配信ではない)。乗車中に何分まで再生できたかとともに、途中再生が困難になり再生再開のために作業した回数を記録した。
⇒【結果一覧】はこちら http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=495701
結果は、Androidスマホ・iPhone5ともにauがもっとも再生が途切れることなく再生できることがわかった。特にiPhone5は、HD画質でも標準画質でもストレスなく、日本橋ー渋谷の約18分間のうち17分以上の再生が可能だった。
Androidスマホでは、いずれのキャリアも再生が止まることが多く、なかでもドコモは再生画面から動画一覧へ突如戻ってしまうトラブルも。また、再生開始までにかかる時間もドコモ、ソフトバンクともにやや遅れが目立った。
特に厳しい戦いとなったのは、新橋駅ホーム。一気に乗客が増えたことで、トンネル内で安定していた再生も一時停止してしまった。ホームが狭くなった部分で、電波が安定していなかったのかもしれない。その後、赤坂見附駅では、乗り換えで降りる乗客が多かったこと、ホームが広く電波が十分に届いたことが幸いしてか、渋谷駅まで比較的安定した再生が続いた。
いずれのキャリアも同じような傾向であったが、頻繁に再生停止、再生再開に作業が必要になった回数には大きな差が出た。
auの勝因としては、「プラチナLTE」と呼ばれる800MHz帯での4G LTE通信、ウェブ閲覧中に通信をしないアイドリングストップなどの最適化技術の整備が行われている成果が表れているためだろうか。トラフィックが多い過酷な環境下でも強さを発揮している。
今後、スマホやタブレットの普及により、地下鉄などの高トラフィック地帯では、より一層の通信対策が求められる。各社の努力に期待したい。 <取材・文・撮影/林健太>
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