全国的に大荒れの天気となっている今年の夏。記録的な猛暑も重なり、ムシムシした職場環境に仕事のヤル気は下がりっぱなしだ。
実際、社会環境政策のコンサルティング会社・ノルド社会環境研究所が関東・関西の男性サラリーマン300人を対象に行なったアンケート(2013年7月に実施)によると、「暑さにより、仕事の能率が下がっている」と答えた人は96%とほぼ全員。仕事への影響も、「3割以上低下する」が74%にも上った。平均すると、低下率約4割(39.1%)を実感している計算だ。
しかし、オフィス内は冷房ガンガンで涼しいはず……と思いきや、昨今は夏場こそ“節電”。当然、エアコンの温度設定も控えめだ。事情をわかっているとはいえ、職場の温度・空調への満足度は低く、設定温度を不満に思っている人は55.3%に上った。
「たまに外気より冷房設定の方が暑い(温度が高い)時間帯があったりする」(首都圏・運輸系)
「外気に応じた温度調節をしていない、いつも同じ温度」(首都圏・サービス販売)
「冷房の性能が非常に低く、また設定も28度であるため、勤務中のほとんどの時間帯で30度以上の室温となっている。しかも9時~17時までしか冷房が利用できない」(関西圏・電気、電子、機械技術者)
そんな環境の中、暑さにより屋内で体調不良を起こしたことのある人は35.3%。さらに、オフィスにいながらも熱中症にまでなったことがある人が1割近く(8.7%)も存在するなど、サラリーマンの過酷なオフィス事情が浮き彫りになった形だ。
■屋内での熱さによる体調不良、熱中症の経験
![]()
この結果を同研究所代表の久米谷弘光氏は、次のように解説する。
「節電のために家庭でエアコンを控えて熱中症で犠牲になる高齢者等の話をよく耳にしますが、実は勤務中のサラリーマンも、対策を怠ればリスクは同じです。今回の調査では、職場で暑さのため体調が悪くなった人が3分の1以上、熱中症経験者も1割近くいることがわかりました。8割の人が暑く感じる温度設定に耐えながら、水分補給、ネクタイや上着はもちろん靴や靴下を脱ぎ、冷涼下着や冷涼アイテムを駆使し、時々そっと温度設定を下げる。そんな涙ぐましい姿がうかがえます。しかし、仕事の効率が3割以上低下し、熱中症になってしまうような職場環境は、ぜひ改善が必要です」
とはいえ、真夏の電力のピークカットは今後も続けざるを得ないのも確か。一体、どうすればいいのだろうか?
「エネルギー源を電力からガスに切り替えて空調を行うのもひとつの方法です」
そう指摘するのは、システム技術研究所所長の槌屋治紀(つちや・はるき)先生だ。
「ガス冷房は、優れた省エネルギー型建築にはすでに多く取り入れられている技術で、CO2排出量が小さく効率の高い冷房を実現します。ガスエンジン駆動の冷房システムなら、消費電力が少ないので、夏の暑い日の午後でも電力不足を気にすることなく冷房を入れられ、オフィスの能率が低下することはないでしょう」
そこで、ガス冷房を取り入れている施設を調べてみると、「六本木ヒルズ」「丸ビル」「イオンモール」「あべのハルカス」「梅田スカイビル」などのほか、学校や病院といった公共施設などがあった。
さらに、このような商業ビルや商業施設、学校や病院などの公共施設を利用し、暑さをしのごうという取り組みが、環境省が2012年から進めている「クールシェア」だ。これは、一人一台のエアコンをやめ、家庭や地域の涼しい場所をみんなでシェア(共有)し、節電につなげることが狙い。今年は各都道府県単位で節電目標を定めて取り組む自治体も多く、涼める場所を提供するクールシェアスポットの数も徐々に増えている。
暑いオフィスをさっさと抜け出して、クールシェアスポットでスマートに仕事をする。これぞ、夏のデキるサラリーマン!?
(取材・文/週プレNEWS編集部) 【関連記事】
・猛暑になるとアイスクリームが売れないってホント?
・1000年に一度の“千年猛暑”到来で、東京は40℃超え連発?
・夜中に突然死するリスクは2.6倍! 日本人がなりやすい“睡眠障害”とは?
・地球は温暖化なのか? 氷河期なのか?
・コンビニアイスの隠れたメジャーリーガー「あいすまんじゅう」
実際、社会環境政策のコンサルティング会社・ノルド社会環境研究所が関東・関西の男性サラリーマン300人を対象に行なったアンケート(2013年7月に実施)によると、「暑さにより、仕事の能率が下がっている」と答えた人は96%とほぼ全員。仕事への影響も、「3割以上低下する」が74%にも上った。平均すると、低下率約4割(39.1%)を実感している計算だ。
しかし、オフィス内は冷房ガンガンで涼しいはず……と思いきや、昨今は夏場こそ“節電”。当然、エアコンの温度設定も控えめだ。事情をわかっているとはいえ、職場の温度・空調への満足度は低く、設定温度を不満に思っている人は55.3%に上った。
「たまに外気より冷房設定の方が暑い(温度が高い)時間帯があったりする」(首都圏・運輸系)
「外気に応じた温度調節をしていない、いつも同じ温度」(首都圏・サービス販売)
「冷房の性能が非常に低く、また設定も28度であるため、勤務中のほとんどの時間帯で30度以上の室温となっている。しかも9時~17時までしか冷房が利用できない」(関西圏・電気、電子、機械技術者)
そんな環境の中、暑さにより屋内で体調不良を起こしたことのある人は35.3%。さらに、オフィスにいながらも熱中症にまでなったことがある人が1割近く(8.7%)も存在するなど、サラリーマンの過酷なオフィス事情が浮き彫りになった形だ。
■屋内での熱さによる体調不良、熱中症の経験
この結果を同研究所代表の久米谷弘光氏は、次のように解説する。
「節電のために家庭でエアコンを控えて熱中症で犠牲になる高齢者等の話をよく耳にしますが、実は勤務中のサラリーマンも、対策を怠ればリスクは同じです。今回の調査では、職場で暑さのため体調が悪くなった人が3分の1以上、熱中症経験者も1割近くいることがわかりました。8割の人が暑く感じる温度設定に耐えながら、水分補給、ネクタイや上着はもちろん靴や靴下を脱ぎ、冷涼下着や冷涼アイテムを駆使し、時々そっと温度設定を下げる。そんな涙ぐましい姿がうかがえます。しかし、仕事の効率が3割以上低下し、熱中症になってしまうような職場環境は、ぜひ改善が必要です」
とはいえ、真夏の電力のピークカットは今後も続けざるを得ないのも確か。一体、どうすればいいのだろうか?
「エネルギー源を電力からガスに切り替えて空調を行うのもひとつの方法です」
そう指摘するのは、システム技術研究所所長の槌屋治紀(つちや・はるき)先生だ。
「ガス冷房は、優れた省エネルギー型建築にはすでに多く取り入れられている技術で、CO2排出量が小さく効率の高い冷房を実現します。ガスエンジン駆動の冷房システムなら、消費電力が少ないので、夏の暑い日の午後でも電力不足を気にすることなく冷房を入れられ、オフィスの能率が低下することはないでしょう」
そこで、ガス冷房を取り入れている施設を調べてみると、「六本木ヒルズ」「丸ビル」「イオンモール」「あべのハルカス」「梅田スカイビル」などのほか、学校や病院といった公共施設などがあった。
さらに、このような商業ビルや商業施設、学校や病院などの公共施設を利用し、暑さをしのごうという取り組みが、環境省が2012年から進めている「クールシェア」だ。これは、一人一台のエアコンをやめ、家庭や地域の涼しい場所をみんなでシェア(共有)し、節電につなげることが狙い。今年は各都道府県単位で節電目標を定めて取り組む自治体も多く、涼める場所を提供するクールシェアスポットの数も徐々に増えている。
暑いオフィスをさっさと抜け出して、クールシェアスポットでスマートに仕事をする。これぞ、夏のデキるサラリーマン!?
(取材・文/週プレNEWS編集部) 【関連記事】
・猛暑になるとアイスクリームが売れないってホント?
・1000年に一度の“千年猛暑”到来で、東京は40℃超え連発?
・夜中に突然死するリスクは2.6倍! 日本人がなりやすい“睡眠障害”とは?
・地球は温暖化なのか? 氷河期なのか?
・コンビニアイスの隠れたメジャーリーガー「あいすまんじゅう」