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ケータイキャリアのゴーマン経営を止める、解決策とは?

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6月末、パナソニックが冬のドコモ向けスマートフォンの供給から撤退するという報道が流れたように、アップルやサムスン電子など海外メーカーの躍進で国内メーカーは衰退傾向にある。しかし、その一方で日本の大手ケータイキャリア3社が2012年度決算で計上した営業利益は「約2兆950億円」にも及ぶ好調ぶりだ。

その秘密は、「端末の販売」と「回線の契約」をキャリアが一括で管理する日本独自の業界構造にある。スマホを買おうと思ったら、キャリアが提示する高い端末価格と契約料金プランを受け入れるしかなく、まさに「キャリアだけがオイシイ思いをする」仕組みといえる。

ユーザーによってより良い環境をつくるためにはどうしたいいのか――。

解決策はただひとつ。「端末の販売」と「回線の契約」を分離し、端末販売をキャリアから取り上げ、端末を原則としてSIMフリーとすること。つまり、キャリアを本来の姿である“土管屋化“することなのだ。

キャリアが土管屋に戻ることで何が良くなるのか? まず言えるのは、複雑な料金体系や割引プランがクリアになること。その最たるものが、よく見かける「実質0円」という表示だろう。

「端末価格が0円」と勘違いする人が多いが、それは大きな間違い。「毎月の利用料金(通話代やパケット代)から一定額を割り引き、その24ヵ月分の合計が端末価格分相当になりますよ」ということなので、端末代自体は一切値引きされていない。だから「実質」なのだ。

この販売方法は非常にわかりにくい。キャリア各社で割引の名称が異なる上、「端末価格は高価でも、割引が大きい機種」と「端末価格が安価でも、割引が少ない機種」を比べて、どっちがトクなのか判断できる人はごく少数だろう。それに、「実質0円」になるのは2年間使い切っての話で、それより前に機種変更したり、解約すると、残りの期間の割引が受けられず、損になってしまう。

しかし、端末の販売と回線契約が分離されれば、キャリア各社は端末価格と利用料金を結びつけ、割引をするなんてことができなくなる。つまりシンプルな料金プランだけでユーザーにアピールするしかなくなるのだ。

そうなれば、ユーザーはキャリアごとの料金を比較しやすくなるため、キャリア同士の料金競争も、より激しくなるはず。現在のようにスマホのパケット定額料金がほぼ1種類(2段階定額制はわずかな通信量で上限料金に達してしまい、事実上機能していない)という商売は通じなくなり、ユーザーのニーズに合った、きめ細かい料金体系が生まれるかもしれない。

次に、ケータイやスマホの選択肢がより広がる可能性がある。日本で販売される端末はすべて、事実上キャリアにより選別されたもの。そのため、どんな魅力的な機種でも、キャリアが導入しなければ手に入れにくい。

だが、キャリアが端末販売を手放し、SIMロックがなくなれば、国内外問わず、端末メーカーは容易に日本市場で自社の端末を販売できるだろう。海外のように、1万円未満の「通話するだけ」のケータイから、1万円台で買える低価格スマホ、特定の目的に合致するように設計されたスマホなども流通するようになるはずだ。

こうしたメリットがある施策のすべてが、現在の日本のケータイ業界では不可能になっている。ユーザー目線のサービスを充実させるためにも、キャリアは端末販売と回線契約を切り離すべきなのだ。

取材・文/週プレ「ケータイ」取材班 【関連記事】
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