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カメ、甲羅の正体あばかれる。ついに進化の謎が明らかに(動画あり)

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カメ! 身近にして奇っ怪な珍生物!

進化の過程で「骨の装甲」を手に入れた脊椎動物はたくさんいます。例えば、アルマジロやワニ、そして白亜紀に生息していたアンキロサウルスなどは、背中にタイル状に敷きつめられた硬い装甲をもっています。


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でも、こういったほとんどの脊椎動物の装甲は、「皮骨」と言われ「皮膚の中」に形成されています。体の表面にあった骨が、より内側に位置するよう進化したのです。ところが、カメの甲羅は全て「皮膚や筋肉の外側」にあるんですよね。謎。


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だから、カメさんどうしてこんなエクストリームな形状に進化しちゃったの? っていうのは、進化論が認識されるようになった19世紀から、発生学やら古生物学やらで論争の的だったのであります。

具体的には、次のふたつの仮説のうちどちらが正しいかということで言い争われてきました。ひとつは

「カメの祖先は皮骨性の装甲を持っており、現在のカメも、体幹の骨に加えてこの皮骨を使って背甲を形成している」 という説です。これは、カメの甲羅の微細な構造を観察すると、皮骨でできたものと非常に良く似ているため、整合性が高いと見られてきました。

そしてもうひとつは、

「カメの背甲は単に肋骨や背骨が変形したもので、皮骨成分は含まれていない」 という説です。

そしてついに、この長年にわたる論争の答えを、日本の理化学研究所などからなる研究グループが明らかに。

結論から言いますと、先ほどの2つの仮説のうち後者が正解。カメの甲羅の正体は、あばら骨。進化の過程で肋骨が劇的に形を変えたのです。研究の結果、皮骨からできている装甲とは明らかに異なっていることがわかりました。

ここでひとまず、カメの進化のアニメーションを見てイメージを膨らませてみましょう。(*スミソニアン博物館のタイラー・ライソン博士の説を基にした、カメの進化をシミュレーションした動画です。今回の理化学研究所の発表とは関係ないのなので、もしかしたら齟齬があるかもしれません。参考までに)





あばら骨が筋肉を押しのけて体の表面に出てきたんですね。自然すげー。突然変異と自然淘汰だけでこれだけ劇的にカタチがかわるのか〜って驚きです。デザインが最適化されていく過程を見ると、神の意志のようなものすら感じます。昔の人々が進化論を信じれなかったのもわかります。

さてさて、この発見、発生学と古生物学、両方の切り口からカメさんと向き合った研究の成果です。理化学研究所では、スッポンを胚の状態から細胞レベルで観察してニワトリと比較したり...カメと同様の構造をした甲羅を持っていた中生代爬虫類シノサウロスファルギスの化石標本を研究するなど...綿密な調査からこれらの結論を導き出したとのこと。やっぱこれだけやらないと、進化の謎って解明できないんですね。

自然の神秘も凄いけど、その謎を解き明かす科学者もすげ〜。


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しかし、まだ「どうしてカメの肋骨は背中側にだけ広がって、それを覆う筋肉は形成されないの?」という謎は残っています。

今後研究チームは、この謎を解明するため、発生学や古生物学それぞれの切り口でさらなるリサーチを続けるとのこと。

カメさん大好き、恐竜大好きなぼくとしてはめちゃめちゃ応援しています。



理研のプレスリリースの最後に「現在生息している脊椎動物は、これまで地球上に誕生してきた脊椎動物のわずか1%にすぎず、残りの99%は絶滅種」と書いてあるんですが、やっぱ凄い壮大なスケールだなあ、進化って。地球凄い。う〜ん数億年後の人類の子孫、甲羅背負ってたりするのかなあ。


[理化学研究所、Glen Kuban's Web Sites、YouTube、Terra Nova Podcast]

(西條鉄太郎)

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