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みなさんは石巻と聞いて何を想像しますか。筆者の中では、まず社会の時間に勉強した漁港のイメージが強いです。おいしい魚。そして、次に浮かぶのが3.11の震災です。甚大な被害を受けられたとニュースで見たのを忘れられません。
そんな石巻でITが盛り上がっているという話を聞きました。最先端のIT企業で働いているプロのエンジニアから、これからプログラミングを始める若者までが集まり開発を行う「ハッカソン」が開かれているとか。他にも、小学生向けのワークショップが行われていて、その講師がプログラミングを学んだばかりの学生だという話もありました。
これらのプロジェクトを開催しているイトナブ石巻代表の古山隆幸氏にお話を伺いました。
かっこいい大人たちの背中を若者に見せたいんです
古山氏は石巻出身。地元には仕事の選択肢が少なく、東京の大学に進学。そこでWeb制作会社を起業。震災後は石巻と東京を行き来しながら、母校の石巻工業高等学校でソフトウェア開発の授業を受け持ち、同時に石巻の誰でもが気軽にITについて学べるイトナブ石巻を立ち上げました。
かっこいい大人たちの背中を若者に見せたいんです。
様々な分野のプロたちから話を聞いたり、何かを学んだりする機会を作ることで、石巻の自分の後輩たちに「この仕事かっこいい」「こんな風な大人になりたい」と目標を持ってもらいたいのだそうです。

地元に残りつつ勉強、就職できるものとして、特にITというエッセンスは魅力的でした。コンピュータとインターネットさえあればどこでも仕事ができるからです。
石巻から世界にコンテンツを発信できる可能性だってあります。
古山氏はこう付け加えます。
まず1000人のIT技術者を育てます。その1000人、目の前の若者が変われば、その周り、次の世代も変わります。実際に去年我々と一緒にハッカソンを行った工業高校生は、すでに小学生を教えています。次から次へサイクルができれば、5年後にはIT産業が自活した街になるのではないでしょうか。
そう、震災後の石巻の街に新しい産業が生まれるということなのです。
震災によって、様々な人がサポートをしてくれています。こういう言い方も変ですが、皆が石巻の現状を(今回の震災で)知ってくれたのに、ときが経つに連れ忘れられていくのは悲しいことです。今フォーカスされて飛び上がった石巻に我々の活動で「羽」をつけたいと考えています。
ハッカソン、ワークショップなどITに触れるチャンスが増えている
では実際にイトナブではどんな活動を行なっているのでしょうか。
石巻Hackathon
2012年7月開催の第1回ハッカソンは、複数のグループが起業を目指して競い合う「Srartup Weekend」と、ほぼ初心者同然の高校生が3日間でAndroidアプリを制作する「Boot Camp」の二部構成で行われました。
場所は古山氏の母校でもある石巻工業高等学校の校舎。東京から最先端のIT企業に勤めるプロのエンジニアが講師・サポートとして参加しました。
プロと話して触発されたり、Startup Weekendを見て起業に興味を持ったりと、様々な「気づき」があるイベントだったようです。
なお、2013年7月26日〜28日に第2回を実施予定。詳細は文末にて。
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The Day
子どもたち向けのイベント「The Day」が実施されました。iPhone、iPad miniなどの端末で動画を撮影し、それを自分たちで編集、ひとつの作品を作り上げるワークショップです。
震災のあと、復興が行われ、街の景色が大きく変わる石巻。映像として「記憶を残す」のが目的だったそうです。また、このイベントに参加することで、iPhoneやMacなどコンピュータ機器に対する興味も持ってもらえたとのことでした。
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小学生向けアプリ開発ワークショップ
小学生を対象としたアプリ開発ワークショップも行われています。ここですごいのが、去年ハッカソンに参加した石巻工業高校生(現卒業生)が「先生」だということ。古山氏が冒頭で述べていた、「次の世代へのサイクル」がすでにまわりはじめているのです。
教わった人が、また別の人に教える。この連鎖が続けば、少ない人数で始めたプロジェクトもすぐ大きなムーブメントになるのではないでしょうか。
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この他にもイトナブでは様々なプロジェクトが進められています。気になった方はこちらのリンクをチェックしてみてください。
石巻Hackathon参加者募集
今年も開催される、石巻Hackathonへの参加者を募集しています。詳しくは次の通り。
場所:宮城県石巻工業高等学校(宮城県石巻市貞山5−1−1)
日時:7月26日12時〜7月28日13時まで
参加費:無料
アクセス:石巻までの交通費は参加者負担。仙台-石巻高速バス 往復回数券1500円
宿泊:宿泊先は30名くらい泊まれる大広間を用意予定。寝袋を持参すれば当日1000円にて宿泊可能。その他宿泊先は菊池旅館、石巻グランドホテルなどがあるそう
お問合せ:イトナブ (担当)古山 080-3445-7792
主催:イトナブ、宮城県石巻工業高等学校、一般社団法人ISHINOMAKI2.0
共催:Hack For Japan、Fandroid EAST JAPAN
今年は参加者のスキルレベルにより「IT Boot camp」、「チャレンジング」、「どや」3部門が用意されています。それぞれの部門の説明と申込フォームはこちらにて。
(五十嵐弘彦)
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