朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の人気は留まるところを知りません。NHKらしからぬ内容、ギャグの応酬、登場人物のキャラクターなどなど、今までの朝ドラをこよなく愛するおじいちゃんやおばあちゃんにとっては、なかなかついて行くことが難しいと思われる点も少なくありません!
NHKがNHKたる由縁は、日本全国津々浦々、北は北海道から南は九州沖縄まで、おじいちゃんでもおばあちゃんでも楽しめるという点に尽きるのではないでしょうか。筆者も子供の頃に、日曜日のお昼にぼーっと見ていたNHKを全く楽しむことができなかったのです。
しかしながら、今、改めて、じいさんやばあさんが好き好んでみている番組を見てみると、驚く程に「おもしろい!」と実感できました。今回は、「THE NHK」とも言える長寿番組「NHKのど自慢」の楽しみ方を紹介します。
喋りすぎるご婦人vs小田切千アナ
NHKの生放送の歌番組といえば、「紅白歌合戦」。かつて司会をした上沼恵美子曰く、「オープニングで名前を名乗った時から、スタッフから巻きが出ていた!」とのこと。NHKの生放送番組で、しかも、音楽番組のそのタイトな進行を無事放送するには、それだけ時間にシビアな司会をしなければならないというわけです。
そこへ来て「NHKのど自慢」です。「紅白」の場合は、出場歌手は言わずもがな全員プロ、進行のことをきちんと気にしながら、トークをしてくれます。一方、「のど自慢」は全員が一般人。地元ののど自慢大会などで腕を振るっている若者ならば、時間を気にしながら歌後のトークをしてくれますが、問題は「我が我が」精神全開のご婦人です。
十秒ほどしかないそのトーク時間に、ゲストの演歌歌手に「本当、八代亜紀さんお綺麗ですよねぇ。特にスタイルが魅力ですわぁ。私、大好きで、お友達と一緒に去年のクリスマスディナーショーを見に行ったんですよぉ。もう素敵だったわぁ。憧れてるんです、八代さん! 握手して下さい!!」と、こんな感じで喋るわけだ。今、試しに筆者がこの言葉を読んでみたわけだが、タイムは18秒80を記録した。長いです。とてつもなく長いです。「紅白」ならば、フロアディレクターは鬼の形相で「巻き」の指示を出しているはずです。
このとき、誰よりも活躍するのが、番組司会のNHKアナウンサー・小田切千さんなのです! 「いつまで喋ってんだよ!」という思いをまったく表情に出さず、嫌味を感じない満面の笑みで喋りすぎるご婦人に「おところ!おなまえを!!」と自己紹介を促すのです。あっぱれ。見事なさばきっぷりです。「喋り過ぎだよ!」とおそらくイライラ&ドキドキしているスタッフをよそに、誰も傷つけず、朗らかに進行を勤めてくれます。
この時間を気にしない素人ご婦人と、小田切アナの応酬を、スタッフの思いと同じにドキドキしながら、あるいは、イライラしながら見るのが、「のど自慢」の正しい楽しみ方だと言えるでしょう! 「ご婦人よ! 時間見てくれ!」「まだまだ後には出場者がつかえているのだよ!」とテレビに向かって、多いに叫びながら見ると、「のど自慢」を少なくとも5倍は今までより楽しめるはずです!
シュールすぎる「NHKのど自慢」
毎回、「のど自慢」には、あわや100歳というご高齢の出場者、「合格したら、プロポーズをする」と心に決めて出場し、見事合格し、生放送中に婚約を決める出場者、などなどさまざまな人生をかかえた人々が出場します。
会場の観客は、彼らが登場する度に大歓声と、大きな拍手を彼らに贈ります。この拍手のタイミングに注目していると、とてもシュールであることがよくわかり、それが笑いどころに変わります。
たとえば、先述のご高齢出場者が「今年で98歳になります」との発言を受けて、拍手、ならば理解できるのですが、おじさんの出場者が「今朝は緊張から食欲がなく、うどんを食べてきました!」との発言を受けても、会場は大拍手で包まれます。拍手の贈り先はいったいどこなのでしょうか? 「うどん」なのでしょうか? それとも、「食欲がない」という部分なのでしょうか? 実にシュールな大拍手です。
おそらく、会場にいるお客さん達は、「目の前で、全国放送で、しかも、生放送で、瀬川瑛子と同じ板の上で、脚光を浴びている人なんだから、凄いに違いない! もう何でも凄いんだよ、絶対!!」という思いで、拍手をしているのだろうと思います。この愛すべき、愛おしいシュールな拍手は、1度の放送で少なくとも10回は訪れるのです。
視聴者として、冷静になり、その拍手の贈り先を考えたなら、「のど自慢」のシュールさを知り、さらに楽しめること間違いありません! 今まで、みなさんのじいちゃんやばあちゃんが、日曜の昼間に楽しんでいたひと時を、みなさんは楽しめていたでしょうか? 「あぁ、つまらん!」と貴重な日曜日を無駄に過ごしていることに辟易としていたのではないでしょうか? その意味で言うと、今こそ、「NHKのど自慢」を楽しむ時がやってきたのです!! 日本全国津々浦々、どんな田舎へ行ったとしても、日曜のお昼は「のど自慢」で楽しめます。もう日曜お昼を無駄に過ごす心配はありませぬ!
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しかしながら、今、改めて、じいさんやばあさんが好き好んでみている番組を見てみると、驚く程に「おもしろい!」と実感できました。今回は、「THE NHK」とも言える長寿番組「NHKのど自慢」の楽しみ方を紹介します。
喋りすぎるご婦人vs小田切千アナ
NHKの生放送の歌番組といえば、「紅白歌合戦」。かつて司会をした上沼恵美子曰く、「オープニングで名前を名乗った時から、スタッフから巻きが出ていた!」とのこと。NHKの生放送番組で、しかも、音楽番組のそのタイトな進行を無事放送するには、それだけ時間にシビアな司会をしなければならないというわけです。
そこへ来て「NHKのど自慢」です。「紅白」の場合は、出場歌手は言わずもがな全員プロ、進行のことをきちんと気にしながら、トークをしてくれます。一方、「のど自慢」は全員が一般人。地元ののど自慢大会などで腕を振るっている若者ならば、時間を気にしながら歌後のトークをしてくれますが、問題は「我が我が」精神全開のご婦人です。
十秒ほどしかないそのトーク時間に、ゲストの演歌歌手に「本当、八代亜紀さんお綺麗ですよねぇ。特にスタイルが魅力ですわぁ。私、大好きで、お友達と一緒に去年のクリスマスディナーショーを見に行ったんですよぉ。もう素敵だったわぁ。憧れてるんです、八代さん! 握手して下さい!!」と、こんな感じで喋るわけだ。今、試しに筆者がこの言葉を読んでみたわけだが、タイムは18秒80を記録した。長いです。とてつもなく長いです。「紅白」ならば、フロアディレクターは鬼の形相で「巻き」の指示を出しているはずです。
このとき、誰よりも活躍するのが、番組司会のNHKアナウンサー・小田切千さんなのです! 「いつまで喋ってんだよ!」という思いをまったく表情に出さず、嫌味を感じない満面の笑みで喋りすぎるご婦人に「おところ!おなまえを!!」と自己紹介を促すのです。あっぱれ。見事なさばきっぷりです。「喋り過ぎだよ!」とおそらくイライラ&ドキドキしているスタッフをよそに、誰も傷つけず、朗らかに進行を勤めてくれます。
この時間を気にしない素人ご婦人と、小田切アナの応酬を、スタッフの思いと同じにドキドキしながら、あるいは、イライラしながら見るのが、「のど自慢」の正しい楽しみ方だと言えるでしょう! 「ご婦人よ! 時間見てくれ!」「まだまだ後には出場者がつかえているのだよ!」とテレビに向かって、多いに叫びながら見ると、「のど自慢」を少なくとも5倍は今までより楽しめるはずです!
シュールすぎる「NHKのど自慢」
毎回、「のど自慢」には、あわや100歳というご高齢の出場者、「合格したら、プロポーズをする」と心に決めて出場し、見事合格し、生放送中に婚約を決める出場者、などなどさまざまな人生をかかえた人々が出場します。
会場の観客は、彼らが登場する度に大歓声と、大きな拍手を彼らに贈ります。この拍手のタイミングに注目していると、とてもシュールであることがよくわかり、それが笑いどころに変わります。
たとえば、先述のご高齢出場者が「今年で98歳になります」との発言を受けて、拍手、ならば理解できるのですが、おじさんの出場者が「今朝は緊張から食欲がなく、うどんを食べてきました!」との発言を受けても、会場は大拍手で包まれます。拍手の贈り先はいったいどこなのでしょうか? 「うどん」なのでしょうか? それとも、「食欲がない」という部分なのでしょうか? 実にシュールな大拍手です。
おそらく、会場にいるお客さん達は、「目の前で、全国放送で、しかも、生放送で、瀬川瑛子と同じ板の上で、脚光を浴びている人なんだから、凄いに違いない! もう何でも凄いんだよ、絶対!!」という思いで、拍手をしているのだろうと思います。この愛すべき、愛おしいシュールな拍手は、1度の放送で少なくとも10回は訪れるのです。
視聴者として、冷静になり、その拍手の贈り先を考えたなら、「のど自慢」のシュールさを知り、さらに楽しめること間違いありません! 今まで、みなさんのじいちゃんやばあちゃんが、日曜の昼間に楽しんでいたひと時を、みなさんは楽しめていたでしょうか? 「あぁ、つまらん!」と貴重な日曜日を無駄に過ごしていることに辟易としていたのではないでしょうか? その意味で言うと、今こそ、「NHKのど自慢」を楽しむ時がやってきたのです!! 日本全国津々浦々、どんな田舎へ行ったとしても、日曜のお昼は「のど自慢」で楽しめます。もう日曜お昼を無駄に過ごす心配はありませぬ!
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