アニメのジャンルの中でも、日本独自のものといわれる「ロボットアニメ」。そのルーツには、意外な秘密が隠されていた。アニメーション研究家としてさまざまな雑誌などに寄稿する氷川竜介氏が「ロボットと特撮の知られざる関係」について語る。
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最初期のロボットアニメは、『鉄腕アトム』や『エイトマン』のように、等身大ロボットが活躍する作品が中心でした。唯一、同時期の『鉄人28号』には巨大ロボットが登場しますが、後に続くアニメはなかったのです。
その後、60年代後半から70年代に『ウルトラマン』や『仮面ライダー』といった特撮がブームになり、アニメの人気は押されました。しかし、これがロボットアニメというジャンルを確立するきっかけになります。
72年に放送された『マジンガーZ』は、毎回、機械獣が登場し、それをヒーローが必殺技で倒すという、特撮の影響を感じさせるアニメです。しかも、“乗り込み式”と呼ばれる日本独自の様式をこのアニメは発明しました。これは、“仮面ライダーのような”等身大の人間が、“ウルトラマンのような”巨大ロボットに乗り込むという点で、特撮のいいとこどりです。
ちなみに、海外では『トランスフォーマー』のように自ら“意志”を持ったロボットキャラクターが主流です。
さて、70年代中盤からは、玩具メーカーがさまざまなロボットアニメを企画します。ロボットさえ出せばストーリーは自由に作れるため、『機動戦士ガンダム』など、オリジナリティのある作品が生まれました。
80年代半ばにアニメブームが去ると、こうしたビジネスにも陰りが見えます。しかし、当初はOVAとして出された『機動警察パトレイバー』(88年)や、製作委員会方式を採った『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)など、ロボットアニメはビジネスの手法を変革してきました。
歴史に名を残すロボットアニメには、巨人の力を借りて現状を突破していく“開拓精神”が常にあったわけです。今後も、オールドファン向けだけではなく、子供が未来に夢を抱けるような斬新な作品を期待したいです。
(取材・文/西中賢治)
●氷川竜介(ひかわ・りゅうすけ)
アニメーション研究家として、さまざまな雑誌やビデオソフトなどに寄稿している。編集に携わった『安彦良和アニメーション原画集「機動戦士ガンダム」』(角川書店)が発売中 【関連記事】
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72年に放送された『マジンガーZ』は、毎回、機械獣が登場し、それをヒーローが必殺技で倒すという、特撮の影響を感じさせるアニメです。しかも、“乗り込み式”と呼ばれる日本独自の様式をこのアニメは発明しました。これは、“仮面ライダーのような”等身大の人間が、“ウルトラマンのような”巨大ロボットに乗り込むという点で、特撮のいいとこどりです。
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歴史に名を残すロボットアニメには、巨人の力を借りて現状を突破していく“開拓精神”が常にあったわけです。今後も、オールドファン向けだけではなく、子供が未来に夢を抱けるような斬新な作品を期待したいです。
(取材・文/西中賢治)
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