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激論 プロレス人気は再燃するのか?

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◆冬の時代を乗り越えプロレスは成熟したエンターテインメントへ

 一時は完全に冬の時代を迎えていたプロレス業界だが、ここにきて復調の兆しが! これまで35歳以上の古参プロレスファンが目立った会場に、子供からイケメンレスラーを目当てにした女性の姿も増え、ファン層の拡大も顕著だ。この盛り上がりは本物なのか? そこで、実は幼少期から生粋のプロレスファンである精神科医の香山リカ氏と、プロレスライターの斎藤文彦氏、同じく鈴木健.txt氏の3賢人が激論を交わす!

――’12年からカードゲームの雄・ブシロードと新日本プロレスがタッグを組んで以降、CMやJR駅構内の広告などで大々的に所属選手を起用し、これまでプロレスに触れる機会のなかった人にも注目されるようになってきました。現場の景況感はどうですか?

斎藤:プロレスが上向いてきたのは、実は5年くらい前からで、ここ3年は、ほぼ新日本の独走状態。ただ、1・4(※1)の動員など見ているとポテンシャル(見込みファン)はけっこういるんじゃない。

鈴木:業界全体の生活が良くなったかどうかがバロメーターのひとつかもしれませんが、それはまだまだというところでしょうか。でもコンテンツの自信はあります。

香山:私はノアとみちのくプロレスしか観ないんだけど、本当にプロレスって盛り上がっているんですか? 知り合いを誘っても、「まだプロレスなんてやってるの?」というのが一般的な反応です。確かに、昭和30年代から’80年代までは、テレビのキラーコンテンツとしてゴールデンに放送していたものが、深夜枠ですものね。その要因は、’01年に出た高橋本(※2)の影響なの?

斎藤:高橋本が出てから10年たっているし、今のプロレス界にあの本の影響はほとんどないんじゃないかな。間違いだらけの本だし。

香山:プロレスを観てシラケる人はとっくに去ったし、楽しめる人が残ったということか。

鈴木:それより大きいのは、’90年代後半のPRIDEをはじめとする格闘技の台頭(※3)だと思います。特にプロレスラーが総合の試合で負け続けた一連の流れ。あそこでプロレスは「強さ」を絶対的な価値観として置けなくなった。

斎藤:今やメジャーな格闘技団体も日本にはなくなってしまった。当時から僕は「プロレスの生命力を信じる」と言っていたけど、そのとおりになった。痛めつけられ、蔑まれ、それでもプロレスが最後に生き残った……。

鈴木:負の遺産だけではなく、“負の財産”も得たんですね。痛手から学んで地道にコツコツ努力した成果がようやく実になってきている。今の新日本は、大衆娯楽として成熟の方向に向かっているんですよ。会社だけではなく選手個々も時間をかけて伝わりやすいキャラクターを確立した。最強だけでなく最高を求める、パッケージとしての完成度が高いということです。最大公約数的な楽しませ方になっているともいえる。

⇒【後編】に続く http://nikkan-spa.jp/456604

※1:1・4(イッテンヨン)

新日本プロレスが毎年1月4日に行うビッグマッチのこと

※2:高橋本

新日本プロレスの元レフリー・ミスター高橋による著書『流血の魔術 最強の演技 すべてのプロレスはショーである』のこと。’01年出版。同書の中で高橋は、プロレスは真剣勝負ではなくショーであると明言。ファンに衝撃を与えた

※3:格闘技の台頭

’93年にアメリカで誕生したUFCは、「なんでもあり」の凄惨な試合内容でファンや関係者に衝撃を与える。その後、プロレスラーが総合の試合に挑戦する機会が増えたが、無残な負けが目立った。特に、ヒクソン・グレイシーに2連敗した髙田延彦はA級戦犯扱いされることが多い

⇒【後編】に続く http://nikkan-spa.jp/456604

★2013年上半期プロレス事件簿

●“鉄人”小橋建太、涙の引退興行

’06年に腎臓ガンが発覚し、その後も肘や膝のケガに悩まされた小橋建太が日本武道館で引退。チケットは即日完売。’90年代の「四天王プロレス」でマットを盛り上げた立役者だった

●ノア、選手大量離脱でどうなる?

地上波放送の打ち切り、三沢光晴さんの急逝などで揺れるノア。今年に入ってからは秋山準ら5人が全日に参戦。ハイレベルな選手が多いだけに、ココ一番の踏ん張りどころか

●全日、白石オーナーの暴走劇場

今年、崩壊寸前の全日本プロレスを買収した白石伸正氏は、「ガチンコプロレス」を提唱。6月に社長就任。新体制に反発した武藤敬司は選手・スタッフを連れ離脱。新団体設立へ

<激論メンバーのプロレス3賢人>

【鈴木 健.txt氏】

’66年、東京都生まれ。『週刊プロレス』黄金時代を支えた記者の一人。’09年よりフリーの編集ライターとして音楽、演劇でも執筆。ツイッターのアカウントは@yaroutxt

【斎藤文彦氏】

’62年、東京都生まれ。早大大学院スポーツ科学研究科修了。プロレスライター、大学講師。『週刊プロレス』にて連載を持つ。ツイッターのアカウントは@Fumihikodayo

【香山リカ氏】

’60年、北海道生まれ。精神科医。リングサイド・ドクターを務めたこともあるプロレス好き。写真のキャップとTシャツは、現在ハマっているマイバッハ谷口選手のグッズ。日刊SPA!で不定期連載『人生よりサブカルが大事――アラフィフだって萌え死にたい!』

― 激論 プロレス人気は再燃するのか?【1】 ―



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