4月に控える消費増税もあり、需要の先食いではあるものの週末の自動車ディーラーは活気に溢れている。「どんなクルマがいいのか?」。普段クルマに興味を示さない人も、増税前にクルマを買おうと、あれこれ調べていることだろう。そんなとき、よく目にしたり耳にするのが「プレミアムコンパクトカー」。どんなものがこれに該当するのか?
「まず、欧米でプレミアムと認められたブランドであること。Cセグメント以下(主に欧州で利用されている乗用車分類の方法)、日本車の同クラスの競合車よりも大幅に値段が高い、という特徴があります」とは、自動車評論家のマリオ高野氏。
「定番はVWゴルフ、ザビートル、アウディA1/A3、BMWミニあたり。VWポロなどは本来プレミアムではありませんが、日本車の同クラスと比較すると値段が高く、それに見合った圧倒的な質感が得られるため、日本市場ではプレミアムコンパクトカーと定めていいと思います」
では、どれが「プレミアムコンパクトカー」で、どれがただのコンパクトカーと区別すればいいのか?
「フィアット500、プジョー208などは、冷静に考えればプレミアムとしては微妙な存在ながら、日本市場ではプレミアムといっていいかと。日本車の競合と比べて必ずしも高級ではありませんが、値段が高いぶんの魅力(走行性能や運転する楽しさ、デザイン性など)は備わっています」
2013年は欧州の「プレミアムコンパクトカー」がよく売れたが、なぜなのか?
「日本市場で欧州の小型車が売れている理由は、同クラスの日本車よりも数十万円~100万円ほど高くても欲しくなる、所有して満足できる魅力を備えているから。具体的には、日本人にはマネのしづらいデザインセンス、硬質な走り、いかにも頑丈そうなドアの感触やボディ剛性感などがその魅力にあたります」
昨年1年間、日本で売れた主な欧州輸入車メーカーの数字を見てみると、いずれも対前年比でプラスに。その間、VWはゴルフ(249万円~)、メルセデス・ベンツはAクラス(284万円~)、アウディはA3スポーツバック(308万円~)、ボルボはV40(269万円~※12月2日から289万円~)と、BMW以外は2013年に新型の「プレミアムコンパクトカー」をモデルチェンジして発売しており、これらが売れたことが数字の伸びにつながったと考えられる(1シリーズは2012年にモデルチェンジ)。
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とはいえ、いずれも輸入車ばかり。国産で「プレミアムコンパクトカー」と呼べるものはないのか?
「日本車にも『プレミアムコンパクトカー』を謳ったモデルはいくつかありましましたが、ユーザーからは“プレミアム”と認知されず、商売的にはほぼすべて失敗しました。フィットHVやアクアについては、“ちょっといい小型車”としては認知されていますが、やはりBMWミニなどと比べるとプレミアムとは呼べなくなります。ただ、レクサスのCT200hは、日本車の中で唯一例外でしょう」
レクサスのCT200h(356万円~)は、先だって3年ぶりにマイナーチェンジ。エンジンはそのままだが、見た目が大きく変わり顔はレクサスのアイコン「スピンドルグリル」になった。前後のバンパー形状も変更されワイドになったほか、ボディ剛性もアップ。同クラスのドイツ御三家の「プレミアムコンパクトカー」は直噴ターボエンジン+ハイオク仕様だが、CT200hはハイブリッド+レギュラーガソリン仕様。「プレミアムコンパクトカー」のなかでも異彩を放っている。
「レクサスは北米でプレミアムブランドとして定着し、日本でもディーラーを展開してから早数年、おおむね成功したと言えます」
日本人の舶来品好きもあり、2013年は欧州系が大爆発した「プレミアムコンパクトカー」は、今年もレクサスはじめフォードからも新型が登場している(フィエスタ229万円~)。消費増税前なら、ギリギリ狙えるかも!? <取材・文/日刊SPA!取材班>
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