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はいはい、また中国大気汚染、戦慄のニュースのお時間でございますよ。
米国科学アカデミー紀要に載った最新論文で、中国の大気汚染が太平洋を遥々こえて西海岸にも有害物質をまき散らしていることがわかりました…ひゃーオソロシー!
…って偏西風は真っ直ぐ西海岸目指して吹いてくるんだから当たり前じゃないですかね。昨年11月にNASA気象シミュレーションセンターがゴダード地球観測システムモデルで再現した「最高解像度の世界の風のシミュレーション」(下図)を見ても、中国の風はばっちり日本北部を通って西海岸に当たってます。
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調査では、中国の製造工場から出る酸化窒素や一酸化炭素で「LAは基準値を超えるスモッグが年間1日増えてる」こと、基準値未満の日も「西海岸で検出される硫酸汚染物質の4分の1は中国から流れてきたもの」であることがわかってます。汚染物質が米国本土に到達しているのはわかっていましたが、数量化したのは今回が初めて。
論文を共同でまとめたカリフォルニア大学アーバイン校のスティーブ・デービス(Steve Davis)氏は同大のプレスリリース(日本語訳)で、「製造と汚染もアウトソースしているツケの一部が、太平洋を渡って戻ってきて我々に取り憑いているのだ」と語っています。
中国製造工場から出る大気汚染物質の話はアメリカでも前からニュースの好材で、2006年には「石炭を燃やす発電所の煙突から排出される危険な煤煙、有毒化学物質、気候変動に影響を与えるガス」の戦慄レポートをニューヨーク・タイムズが一面で長々と載せましたし、2年前にはその汚染に米国自身がどう関わっているのか、地球物理研究ジャーナルが詳しく報じています。
他にも数え出したらキリがないのですが、アメリカ人にはどこか…シャーデンフロイデって言うのかな…中国で大気汚染問題がコントロール不能に陥っていくのをまるで他人ごとのように喜んで眺めている節があるんですよね…。
例えば今月も「中国は大気汚染ひどくて天安門広場では日の出もこんな大画面で流してるんだってさ!」というんでこんなディストピアンな写真がワッと広まったんですが、よくよく調べてみたら「中国山東省の観光CM。流れたのは10秒ぽっきり」だったことがわかって、「おいおい誰だよこんな嘘タイトルで広めたの!」って話になってます(犯人はDaily Mail、TIME、CBS、HuffPoその他大勢)。世も末な中国の写真見るとなんでも喜んで広める方も広める方だと思うよ…。
あんなおぞましい大気汚染が米国本土に飛来してきた日にゃさあ大変、パニック・ターイム!…というわけですが、まあ、米国が世界一の温暖化責任国だってことを忘れさせてくれるものならなんでもいいんでしょうね、「中国が悪い!」ってことにしちゃえば。
[Washington Times]
ADAM CLARK ESTES(原文/satomi)
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