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宇宙旅行の魅力半減、無重力では揚げ物ができないことが判明

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唐揚げ、フライドポテト、カキフライのない世界のどこに魅力があるというのか。

揚げ物大好き! アツアツに熱した油の中に肉や野菜を放り込む、下手すりゃ大ケガの危険な調理法を編み出し、進化させた先人達にはただただ頭が下がる思いです。サクっと揚がった唐揚げやコロッケや天ぷらやドーナツやとんかつを食べるたびに、感謝の気持ちでいっぱいになります。人類の探究心とガッツは素晴らしい。料理とは科学であり芸術であり、そして人類の進歩そのものでしょう。

さて、人類の進歩と言えば宇宙。月面着陸したかと思えば、火星にロボットを送り込み写真をとり、国際宇宙ステーションに人類が長期滞在し、はたまた民間宇宙旅行まで計画されるまでになりました。が、残念なことに現代の科学力では、無重力での揚げ物はまだ不可能ということがわかってしまいました。旅先でちょっと買い食いする揚げ物がなければ、宇宙旅行の魅力は半減してしまいます。

偉い科学者先生に言われずとも、無重力での水の様子を見たことがあれば、揚げ物が難しいだろうなとは素人でもわかります。上手く揚がらないどころか、大ケガでしょうよ。が、研究者のJohn S. Lioumbas(ジョン・S・リオウンバス)氏とThodoris D. Karapantsios(ソドリス・D・カラパンチョス)氏は真面目に揚げ物に取り組み、「Food Research International」にて、重力と揚げ物の関係を発表しています。彼らの研究は、遠心分離機の中で揚げ物を試みるという大掛かりなもの。

結果、揚げ物とは対流が大きく影響していることがわかりました。お鍋の中で熱せられたあつい油は上へとあがり、表面で冷やされ下がっていきます。この上へ下への動きがサークルを描くわけですね。以下のgif画像を見れば一発でわかります。





遠心分離機を使って揚げ物をした結果、重力3Gの環境下で最もこの油のサークルの流れが強く、油の泡が小さく、そして上手に美味しく揚がることがわかりました。重力がかかればかかるほど良いというわけでもなく、例えば9Gもの力がかかると、それはそれで強すぎて上手に揚がりません。逆もしかりで、重力が弱くなってもまた揚げ物は上手くいかないということがわかりました。つまり、無重力環境だと、この油の流れがおきず、さくっとした美味しい揚げ物はできないのです。できるのは、油でべちょべちょの失敗作だけ。

つまり、例え、油が宙に浮くという危険が回避でき、国際宇宙ステーションの中で、または宇宙旅行中に揚げ物ができたとしても、それはべっちょべちょで全く美味しくなく、揚げた意味がないような物しかできないというわけです。揚げ物がない世界に魅力がなければ、べちょべちょの揚げ物しかない世界にも同じく魅力はないでしょう。

が、それも現在の話。きっと人類がこれからさらに発展していき、いつか宇宙でも美味しい揚げ物ができるようになるのではないでしょうかね。そして、宇宙で暮らす私たちの子孫から「ご先祖さまは偉大だ」と言われるようになるのではないでしょうか。ね、サクッとカリッとさ。

さて、ピンときた方もいらっしゃったかもしれませんが、この無重力揚げ物リサーチは「世界一美味しいフライドポテトは木星にある!」というやつと同じ研究内で行なわれました。なんと興味深く人間味のある研究でしょう。美味しい科学は素晴らしいな。


[BBC Future via Smithsonian Mag]
Image by kazoka/Shutterstock

そうこ(ERIC LIMER 米版)

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革新も失敗も経験済み。IBMの歴史にはグローバル社会で戦う知恵が詰まってた!

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