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参院選で「スジの通らない」押し付け憲法論を語る候補者に注意せよ

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街角には、都議選の立候補者ポスター掲示板が撤去され、入れ替わりに参院選のそれが設置されている。都議選で自民党の候補者や応援議員が演説で展開した改憲論は、「なんで東京都の話をしないで改憲論?」という疑問を有権者に抱かせた。

しかし、今度は参院選という国政選挙で、改憲論が本格的に展開されることであろう。憲法について国民的な議論がなされることは、歓迎すべきことだと言える。ただし、自民党の改憲論、とりわけ改憲の根拠のひとつとなっている押し付け憲法論には、注意が必要だ。

「週刊東洋経済」6月29日号の特集は「安倍政権の正体 秘められた本心と人脈」。党派性もなく、どの勢力に肩入れするわけでもないこの特集は、安倍政権を客観的に取材したタイムリーな内容なので、読者にもぜひお読みいただきたい。

なかでも筆者が注目したのは、首都大学東京法学系准教授の木村草太氏による「改憲派はもう少し憲法の条文に対し柔軟に向き合って」という一文である。

木村氏は、憲法改正の議論とは、「実現したい政策とその手段としての法律が念頭にあって、それが憲法で禁じられているから改憲しようという順番のはず」だが、自民の改憲論は「改憲それ自体が目的であるかのようだ」と述べる。

押し付け憲法論に関しては、「制定された憲法に従って60年以上も選挙が行われ、国会が運営され、裁判所も憲法を適用してきた」ことから、「建物(憲法)はしっかりした地盤の上に立っているといえる」とする。そして、押し付け憲法論とは「ちゃんとした地盤の上に立っていて、内容も快適であるけれど、建物の設計図を書いたやつが気に食わないから取り壊す、というスジの通らない議論」と指摘している。

さらに、「日本に向けてミサイルを発射しようとしている国に対し、自衛権の行使として攻撃を無力化する行動を、9条は禁じていない」とした上で、「『日本は自衛のための必要最小限度の実力を持つ。しかし、海外で集団的自衛権を行使しないし、国連軍にも参加しない』といった形で行動範囲を明示することを提案。そうすることで、「国際社会の信頼を勝ち取っていく手は、政策としてありうる」と木村氏は言う。

押し付け憲法論の荒っぽさに関する話も、9条に対する柔軟な解釈についても、現状では言うことなしの議論を木村氏は展開している。来る参院選で、「スジの通らない」押し付け憲法論を語る候補者がいたら要注意、である。

(谷川 茂)

※写真は参議院サイトより

【関連情報】
選挙について:参議院ホームページ
http://www.sangiin.go.jp/japanese/goiken_gositumon/faq/a10.html

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