みんなの党、ついに崩壊――。12月9日、かねて渡辺喜美代表と党運営をめぐり対立が取り沙汰されていた江田憲司前幹事長、さらに所属衆参両院議員13人が離党届を提出した。結党から4年余り、所属議員35人の4割にあたる14人が離党したことで、みんなの党は真っぷたつに分裂した。
永田町関係者がこう漏らす。
「大量離党に至った最大原因は、渡辺氏が特定秘密保護法の対応で自民党に擦り寄り、修正協議に合意してしまったことだといわれているが、それ以前に渡辺氏の独善的な党運営に対する不満が根本にある。渡辺氏は創業者意識が強く、何事も自分の思いどおりにやらないと気が済まない性格。
そんな渡辺氏に不信感を抱いていたのは江田氏だけではない。江田氏と一緒に離脱した議員らは『こんな個人商店のような政党でいいのか』『当選後に、ようやく党の実態がわかり、このまま政治活動することへの不安が強かった』などと言っているくらいだ」
江田氏はみんな離党組と年内にも“江田新党”を結成、年明けから日本維新の会の橋下徹共同代表と共通政策をつくり、その後、民主党の一部を取り込むなど野党再編を目指す。
離党届を提出した翌日に、民主党の細野豪志前幹事長や維新の会の松野頼久国会議員団幹事長らと開いた超党派勉強会の設立総会には衆参両院議員52人(民主党11人、維新28人、みんな離党組12人、無所属1人)が出席。欠席を含めた入会者は85人にも上り、野党再編の第一歩を踏み出したともいえる。
だが、専門家の間では、現状では大きなうねりは生まれないとの見方が強い。
永田町事情に詳しいブロガーの山本一郎氏もこう語る。
「江田新党に合流した全員が『みんなの党』の比例で当選した議員。つまり、本来、議席を返還すべきポジションにいる人たちの集まり。彼らが引き続き議席を守り続けられるような特色ある政策を打ち出せるのか、はなはだ疑問です。
また民主や維新から見ても、選挙区で勝ったわけでもない江田新党の議員との合流は微妙。次の国政選挙で党勢拡大に役立つのかという観点からすると、慎重にならざるを得ないでしょう。逆に言えば、選挙区で票を取れる議員を巻き込み切れなかった点に、江田さんの限界はあるとも言えます」
江田氏と共に離党した13人のうち当選回数2回の川田龍平参議院議員以外、全員が1年生議員だ。この点についてはこんな声も。
「江田さんの言っていることは正論なんですが、いかんせん人望がない(苦笑)。渡辺さんだけでなく、江田さんにも独善的なところがあり、周囲をばかにする傾向も強い。党の中間派を取り込めなかったのは、そのあたりに原因があるのでは」(全国紙政治部記者)
一方、連携先の民主、維新にもそれぞれのお家事情がある。民主党は細野氏や前原誠司元代表らが江田氏らとの連携に前向きだが、海江田万里代表ら党執行部は野党再編より党内固めを優先している状況だ。
「そこで江田さんとしては維新との合流に活路を見いだそうと思っているのでしょうが、維新は維新で徳洲会スキャンダルがいつ石原慎太郎共同代表に飛び火してもおかしくない状況。合流して石原さんを江田新党で抱えれば、後々、批判を受ける形にもなりかねない。
また、橋下さん自身が全国政党は時期尚早だったなどと言い始めていたりもする。いずれにせよ、次回選挙が具体的に見えてくるまで大きな形で反自民の第三勢力が出てくる余地は少ないのではないでしょうか」(前出・山本氏)
次の国政選挙は2016年夏。そのときまでに、票を託せるまともな野党が生まれていればいいが。
(取材・文/コバタカヒト[Neutral]) 【関連記事】
・江田憲司(みんなの党)が語る「今日も財務省のマインドコントロールは続いている」
・維新の会をボロボロにした元凶は松井幹事長だった?
・「猪瀬都知事×徳洲会」問題が、1年後に表面化した真の理由とは?
・原子力ムラから政治家へ金が流れる「モンスターシステム」とは?
・参議院議員・アントニオ猪木を直撃「あなたはなぜ、北朝鮮にこだわるのですか?」
永田町関係者がこう漏らす。
「大量離党に至った最大原因は、渡辺氏が特定秘密保護法の対応で自民党に擦り寄り、修正協議に合意してしまったことだといわれているが、それ以前に渡辺氏の独善的な党運営に対する不満が根本にある。渡辺氏は創業者意識が強く、何事も自分の思いどおりにやらないと気が済まない性格。
そんな渡辺氏に不信感を抱いていたのは江田氏だけではない。江田氏と一緒に離脱した議員らは『こんな個人商店のような政党でいいのか』『当選後に、ようやく党の実態がわかり、このまま政治活動することへの不安が強かった』などと言っているくらいだ」
江田氏はみんな離党組と年内にも“江田新党”を結成、年明けから日本維新の会の橋下徹共同代表と共通政策をつくり、その後、民主党の一部を取り込むなど野党再編を目指す。
離党届を提出した翌日に、民主党の細野豪志前幹事長や維新の会の松野頼久国会議員団幹事長らと開いた超党派勉強会の設立総会には衆参両院議員52人(民主党11人、維新28人、みんな離党組12人、無所属1人)が出席。欠席を含めた入会者は85人にも上り、野党再編の第一歩を踏み出したともいえる。
だが、専門家の間では、現状では大きなうねりは生まれないとの見方が強い。
永田町事情に詳しいブロガーの山本一郎氏もこう語る。
「江田新党に合流した全員が『みんなの党』の比例で当選した議員。つまり、本来、議席を返還すべきポジションにいる人たちの集まり。彼らが引き続き議席を守り続けられるような特色ある政策を打ち出せるのか、はなはだ疑問です。
また民主や維新から見ても、選挙区で勝ったわけでもない江田新党の議員との合流は微妙。次の国政選挙で党勢拡大に役立つのかという観点からすると、慎重にならざるを得ないでしょう。逆に言えば、選挙区で票を取れる議員を巻き込み切れなかった点に、江田さんの限界はあるとも言えます」
江田氏と共に離党した13人のうち当選回数2回の川田龍平参議院議員以外、全員が1年生議員だ。この点についてはこんな声も。
「江田さんの言っていることは正論なんですが、いかんせん人望がない(苦笑)。渡辺さんだけでなく、江田さんにも独善的なところがあり、周囲をばかにする傾向も強い。党の中間派を取り込めなかったのは、そのあたりに原因があるのでは」(全国紙政治部記者)
一方、連携先の民主、維新にもそれぞれのお家事情がある。民主党は細野氏や前原誠司元代表らが江田氏らとの連携に前向きだが、海江田万里代表ら党執行部は野党再編より党内固めを優先している状況だ。
「そこで江田さんとしては維新との合流に活路を見いだそうと思っているのでしょうが、維新は維新で徳洲会スキャンダルがいつ石原慎太郎共同代表に飛び火してもおかしくない状況。合流して石原さんを江田新党で抱えれば、後々、批判を受ける形にもなりかねない。
また、橋下さん自身が全国政党は時期尚早だったなどと言い始めていたりもする。いずれにせよ、次回選挙が具体的に見えてくるまで大きな形で反自民の第三勢力が出てくる余地は少ないのではないでしょうか」(前出・山本氏)
次の国政選挙は2016年夏。そのときまでに、票を託せるまともな野党が生まれていればいいが。
(取材・文/コバタカヒト[Neutral]) 【関連記事】
・江田憲司(みんなの党)が語る「今日も財務省のマインドコントロールは続いている」
・維新の会をボロボロにした元凶は松井幹事長だった?
・「猪瀬都知事×徳洲会」問題が、1年後に表面化した真の理由とは?
・原子力ムラから政治家へ金が流れる「モンスターシステム」とは?
・参議院議員・アントニオ猪木を直撃「あなたはなぜ、北朝鮮にこだわるのですか?」