『鉄腕アトム』の放送開始から50年。時代とともに進化をとげ、今や日本を代表するカルチャーとして定着したアニメーション。そのアニメに欠かせない存在といえば、やはり声優だ。本来は裏方だったが、いつしかスポットが当たるようになった。過去の声優ブームをひもとけば、アニメの裏側がみえてくるのではないだろうか。
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アニメーション周辺の文化でありながら、独自の受け入れられ方をしてきた声優文化。
まず最初の声優ブームは、アニメではなく洋画・海外ドラマ人気がもたらした。当時、国内のテレビ局は独自コンテンツを作る予算に乏しく、海外の作品を放送していたが、そこで必要とされたのが吹き替え声優だった。彼らは声優とは名乗っておらず、あくまで舞台役者などが副業として吹き替えをしていた。アラン・ドロンに声をつけて若い女性の間で大人気になった野沢那智も、もとは劇団運営の失敗で作った借金を返済するために声優を始めたという。
そして77年に起こったアニメブームをきっかけに、アニメ声優にも注目が集まるようになる。『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ役を務めた古谷徹や、『北斗の拳』でケンシロウを演じた神谷明など、個性派声優が人気を得た。
その後、爆発的な声優ブームが90年代半ばにやって来る。ブームを牽引した林原めぐみは、声優としていち早くレコード会社と専属契約を結び、91年のデビューから12年までに38枚のシングルをリリースしている。また、94年に本邦初の声優専門誌『声優グランプリ』が創刊され、主に女性声優たちがタレント・アイドルのように扱われた。椎名へきるは、97年に声優として初の武道館コンサートを行なうが、彼女が「アーティスト宣言」を行なった頃から、ブームは沈静化した。
その状況は、アニメが深夜枠中心で放送されるようになった05年頃、再び変化する。作品数の劇的な増加とともに、新人声優が次々とデビューし、ファンによる青田買いが行なわれた。
そんななかでも、水樹奈々、田村ゆかりといった声優アーティストと呼ばれる人材は着実にファンを増やしていく。折しもCD不況の時代にあって、確実な枚数を売り上げる彼女たちは、音楽業界になくてはならない存在となる。そしてついに、水樹奈々が声優として初めて紅白出場を果たすが、彼女に続くスターが現れることなく、ブームは終焉を迎えた。
振り返れば、第1次から一貫して、マニア層が若手声優をアイドル的に推すという傾向が続いた、声優ブーム。それは、世間的な作品人気とは少しずつズレながらも、アニメ業界を存続させるバランサーとして機能してきたのかもしれない。
(取材・文/西中賢治) 【関連記事】
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・放送開始から50年! 20代から40代の男性が一番好きな日本のアニメ作品は?
・空前の“カバーブーム”に沸く、音楽業界の「舞台裏」
・2013年、ブレイク確実! 現役JK&JD声優ユニット「ゆいかおり」に大注目!
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アニメーション周辺の文化でありながら、独自の受け入れられ方をしてきた声優文化。
まず最初の声優ブームは、アニメではなく洋画・海外ドラマ人気がもたらした。当時、国内のテレビ局は独自コンテンツを作る予算に乏しく、海外の作品を放送していたが、そこで必要とされたのが吹き替え声優だった。彼らは声優とは名乗っておらず、あくまで舞台役者などが副業として吹き替えをしていた。アラン・ドロンに声をつけて若い女性の間で大人気になった野沢那智も、もとは劇団運営の失敗で作った借金を返済するために声優を始めたという。
そして77年に起こったアニメブームをきっかけに、アニメ声優にも注目が集まるようになる。『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ役を務めた古谷徹や、『北斗の拳』でケンシロウを演じた神谷明など、個性派声優が人気を得た。
その後、爆発的な声優ブームが90年代半ばにやって来る。ブームを牽引した林原めぐみは、声優としていち早くレコード会社と専属契約を結び、91年のデビューから12年までに38枚のシングルをリリースしている。また、94年に本邦初の声優専門誌『声優グランプリ』が創刊され、主に女性声優たちがタレント・アイドルのように扱われた。椎名へきるは、97年に声優として初の武道館コンサートを行なうが、彼女が「アーティスト宣言」を行なった頃から、ブームは沈静化した。
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そんななかでも、水樹奈々、田村ゆかりといった声優アーティストと呼ばれる人材は着実にファンを増やしていく。折しもCD不況の時代にあって、確実な枚数を売り上げる彼女たちは、音楽業界になくてはならない存在となる。そしてついに、水樹奈々が声優として初めて紅白出場を果たすが、彼女に続くスターが現れることなく、ブームは終焉を迎えた。
振り返れば、第1次から一貫して、マニア層が若手声優をアイドル的に推すという傾向が続いた、声優ブーム。それは、世間的な作品人気とは少しずつズレながらも、アニメ業界を存続させるバランサーとして機能してきたのかもしれない。
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