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国境も技術で変わる時代。
中国は日本だけじゃなく、アジアのいろんな国と領土・領海をめぐって対立しています。そんな中、ここ20年ほど彼らが力を入れてきたことのひとつが考古学です。たとえば南シナ海に古い難破船がたくさん沈んでいるんですが、中国はそれを調査して南シナ海の領有権を主張する根拠にしようとしています。
南シナ海は、南アジアの経済ハブとの間の重要な輸送路です。中国はそこを支配して、何ならロックダウンしようとさえしています。ウォールストリート・ジャーナルによれば、そのために国外から考古学者を招いて南シナ海の発掘調査をさせているそうです。たとえばフランスから考古学者を呼んで、フィリピン近くにある13世紀の難破船を調査したりしているんです。
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(写真はChina Photos/Getty Images)
でも海は、領土問題の一部に過ぎません。中国は先月突然防空識別圏を設定して、その圏内には日本との間で問題になっている尖閣諸島も含まれていることからその意図が注目されています。
防空識別圏はかなり緊張感のある問題ですが、海洋考古学者を海に派遣するくらいだとあまりニュースにもなりません。でもそれは、領土をめぐる主張や争いのあり方の変化を示しています。中国だけでなく、あらゆる国家による領土の主張が変わりつつあります。たとえば今週、ロシアやデンマークに続いてカナダも北極点の領有権を主張しようとしていますが、その根拠には遠隔操作の潜水艦を使った2億ドル(約200億円)がかりの北極海底調査がありました。同様に、米国でも周辺の主権海域200マイル(約320km)まで研究者たちが海底地図を丹念に作っています。
GPSや遠隔潜水艦、考古学といった技術や研究によって、国境の主張のし方も変化し始めています。
[Wall Street Journal]
Kelsey Campbell-Dollaghan (原文/miho)
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