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てか、子供の頃のバニラ味もおがくずでできてたらしいことが発覚。
古い本の匂いって、ちょっと独特のほのかな甘さがあります。でもそれがバニラに通じるものだって言われると...たしかにそんな気もします。最新の研究で、紙の原料となる木から人工のバニラ香料を作る新手法が編み出されたんです。
以前から、木の繊維に含まれるリグニンという物質が酸化するとバニラ香の元であるバニリンができることがわかっていました。1980年代には、世界の人工バニリンの60%はカナダのとある製紙工場から排出されるリグニンから作られていました。ただ従来知られていた加工方法は、安価ではあるものの、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを使うもので、どちらも腐食性の高いものでした、さらに、この方法による副産物は、廃棄する前に強い酸で中和する必要がありました。要するにこの方法はいろいろ厄介なので、結局あまり使われなくなっていきました。
今バニリンを人工的に作る方法の主流となっているのは、石油化学製品のグアイアコールを使うものです。こちらは環境への負荷は低いものの、コストが高くなります。
でも、イオン液体(塩の液体みたいなもの)を使うことで、マレーシアプトラ大学のアーマド・シャムスイールさんとD・K・アブドゥラ―さんがいいとこ取りのバニリン製造方法を編み出したようです。多くのイオン液体は非常に毒性が強く、食用のものに使うには適していないのですが、陽イオンと陰イオンをいじることで、より安全にすることができたそうです。彼らはゴムの木の処理工場にあったおがくずから取り出したリグニンに酸素の泡を通して、赤外線解析を使ってバニリンを検出、(比較的害の少ない)強酸化された副産物から取り分けることに成功したんです。
製造が簡単で天然ものに比べれば安価なので、バニリンには今、天然のバニラの10倍の需要があります。だからそのバニリンをより安全に、低コストに作る手法は、アイスクリームに限らずチョコレートとかいろんなお菓子、香水なんかをリーズナブルに楽しむにはすごく大事です。なので、この研究のおかげでおがくずがバニリンの原料として主流に返り咲いたとしても、「おがくずだと!?」なんて言わないようにしましょうね。
[MIT Tech Review、Image:Shutterstock/Virunja]
Ashley Feinberg(原文/miho)
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