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「人間」よりも前に、武器が存在してたってこと…?
槍(やり)って、人間が他の動物、または人間と戦うときに使う道具…ですよね。それを使うのはあくまで我々と同じ人間だと思われてました。でも、石でできた槍は「人間」が誕生するより8万5000年も前から存在してた(らしい)ことがわかりました。
カリフォルニア大学バークレー校の考古学チームが、地球最古とされる投げ槍の先端の石を発掘しました。彼らの分析では、その槍は28万年前のものです。発掘場所はエチオピアの石器時代遺跡、ガデモッタと呼ばれるところです。詳細はPLoS Oneで報告されています。
彼らの発見で注目すべきところは、その槍が現代のヒトの種、つまり「ホモ・サピエンス」よりずっと前から存在しているらしいということです。ということは、ホモ・サピエンスは今まで考えられていたよりも古い時代から存在していたのかもしれませんし、ホモ・サピエンスの前の種が、我々が思う以上に賢くて、武器を作れるレベルに達していたということかもしれません。この発掘に携わった研究者のひとり、ヨナタン・サーレ氏は次のように説明しています。
技術面での進歩は、必ずしも体の構造の変化と関連はしていません。[…]進歩がもっと早く始まっていたのかもしれません。[…]質の良い(武器の)材料が近くにあったことで、技術的能力をフルに発現できたのかもしれません。[…]さらにこの土地には巨大な湖もあったので、それで定住が進んで技術の進歩を後押ししたのかもしれません。 ということは、やっぱり今の人類より前の種がそれなりに賢くて、石の刃を付けた飛び道具を作れるくらいになってたんでしょうか。研究者らは、その種は60万年前頃からアフリカ、ヨーロッパ、西アジアに存在したホモ・ハイデルゲルゲンシスだった可能性が高いと言っています。文明って自分と同じような「人間」が作ってきたと思ってたけど、実はもっともっと原始的な種の段階から、長い長い時間をかけて作られたものなのかもしれません。
[PLoS One via Discovery、Image by amymyou under Creative Commons license]
Jamie Condliffe(原文/miho)
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