2013年ブラジルW杯開幕までちょうど1年。新たなスタートを切るザック・ジャパンが、16日から始まるコンフェデレーションズ杯(以下、コンフェデ杯)で世界の強豪国と対戦する。
顔を合わせるA組には、ホスト国ブラジルのほか、EURO2012(欧州選手権)準優勝のイタリア、北中米カリブ海王者のメキシコと、「率直に言って、どこもタフな相手」(ザッケローニ監督)だ。
W杯出場を決めた今、コンフェデ杯を新戦力発掘の場にあてるべきとの声も一部からは聞こえるが、ザッケローニは大きなメンバー変更をせずに大会に臨むことを選んだ。この選択にはサッカー解説者の福田正博氏も同意する。
「コンフェデ杯は、あくまで1年後の本大会を見据えた準備のための3試合として有効に使ってほしい。W杯予選も終わり、新戦力を試せという声もあるが、テストの場ではない。それよりも、今までやってきたことをより高めるために、ベストメンバーでしっかりチャレンジすべき。
代表チームの活動は限られているなか、コンフェデ杯は普段なかなか対戦機会のない世界の強豪相手に真剣勝負ができる貴重な機会。だからこそ、既存のメンバーで成熟を図りつつ、対戦相手を考えながら、どの試合も勝ち点を取るためにどうすればいいかを考えて臨むべき。例えば、本田を1トップに置くなど新たな組み合わせを試すのはいいが、テストありきにするのはもったいない」
コンフェデ杯は、あくまで本大会を想定したシミュレーションの場である。ぜひともグループリーグを突破し、1試合でも多くの経験を積みたいところだ。
そこで重要になるのが初戦のブラジル戦。グループリーグ3試合の流れを引き寄せるためにも、初戦が大きなカギとなる。
そのブラジル、超攻撃的SBダニエウ・アウベスのほか、昨年の日本戦で豪快なミドルシュートを決め、強烈なインパクトを残したボランチのパウリーニョ、司令塔のオスカルら各ポジションに実力者をそろえる。そして最大の警戒を払うべき選手は、先頃移籍金74億円でバルセロナへの加入が決まったエースのネイマールだ。
過去の対戦成績は2分け7敗と圧倒されており、今回も苦戦は免れそうにない。
「初戦の相手、ブラジルとは昨年10月に対戦し、真っ向勝負をして0-4と大敗している。今回も同じような戦い方で臨み、負けてしまえば進歩がない。選手個人の差はそう短期間で埋まるものではないし、だからこそ相手をしっかり分析し、準備する必要がある」(福田氏)
だが、ホスト国として優勝が至上命題となっているブラジルの選手には想像を絶するようなプレッシャーがかかっており、若手主体のチームが本来の力を発揮できない可能性もある。
実際、チームは不調で、昨年11月にはマノ・メネゼス前監督が解任。02年日韓W杯でチームを優勝に導いたスコラリが監督に復帰したものの、その後も1勝4分け1敗と結果が出ず、最新のFIFAランキングでは19位にまで後退している。
スコラリの監督就任以降の6試合中、無失点で終えたのは唯一勝利したボリビア戦のみ。前線にタレントがそろう一方で、守備にはつけいる隙もある。特に、昨年の日本との対戦でもそうだったように、スロースターターぶりは顕著で、序盤にペースをつかみ、そこでゴールを奪えるようだと勝ち点を奪取できるチャンスも膨らむはずだ。
タレントぞろいとはいえ、かつてのロナウドやロナウジーニョらのような大物に比べると、ネイマールといえども小粒感は否めない。攻撃もそのネイマールを中心としたショートカウンターが基本なだけに、日本はコンパクトな陣形を保ち、無用にスペースを与えるようなことがなければ十分勝負できるに違いない。
もし、ブラジルから勝ち点を奪うことができれば、この8ヵ月間で組織として大きく成長したことになり、ザックジャパンの大きな自信になるだろう。
最後に、キーになる選手を福田氏に聞いた。
「強豪ぞろいのなか、日本が勝ち点を重ねるためには、やはり本田がどれくらいできるかが重要。彼は、こういう試合でこそ力を発揮するタイプで、ザッケローニのチームづくりを見れば、本田がエースであるのは間違いない。だからこそ、本田の出来不出来が結果に与える影響はかなり大きいと思う」
その本田は、「みんな期待していないかもしれないが、僕は優勝するつもり」と頼もしい発言。選手全員がこの気持ちで臨めば、コンフェデ杯は日本代表に最高の経験をもたらすはずだ。
(取材/栗原正夫 写真/益田佑一) 【関連記事】
・戦力外の選手だらけ? サッカー日本代表にも影を落とす“欧州組”の明暗
・前田の“デスゴール”で、なんと浦和レッズの女子チームが降格危機?
・セルジオ越後の一蹴両断! 第302回「本田圭佑がいないと途端に弱くなるのは監督の責任だ!」
・仕事にも役立つ! 「キング・カズの名言」
・Jリーグ改革の切り札、日本版プレミアリーグ構想とは?
顔を合わせるA組には、ホスト国ブラジルのほか、EURO2012(欧州選手権)準優勝のイタリア、北中米カリブ海王者のメキシコと、「率直に言って、どこもタフな相手」(ザッケローニ監督)だ。
W杯出場を決めた今、コンフェデ杯を新戦力発掘の場にあてるべきとの声も一部からは聞こえるが、ザッケローニは大きなメンバー変更をせずに大会に臨むことを選んだ。この選択にはサッカー解説者の福田正博氏も同意する。
「コンフェデ杯は、あくまで1年後の本大会を見据えた準備のための3試合として有効に使ってほしい。W杯予選も終わり、新戦力を試せという声もあるが、テストの場ではない。それよりも、今までやってきたことをより高めるために、ベストメンバーでしっかりチャレンジすべき。
代表チームの活動は限られているなか、コンフェデ杯は普段なかなか対戦機会のない世界の強豪相手に真剣勝負ができる貴重な機会。だからこそ、既存のメンバーで成熟を図りつつ、対戦相手を考えながら、どの試合も勝ち点を取るためにどうすればいいかを考えて臨むべき。例えば、本田を1トップに置くなど新たな組み合わせを試すのはいいが、テストありきにするのはもったいない」
コンフェデ杯は、あくまで本大会を想定したシミュレーションの場である。ぜひともグループリーグを突破し、1試合でも多くの経験を積みたいところだ。
そこで重要になるのが初戦のブラジル戦。グループリーグ3試合の流れを引き寄せるためにも、初戦が大きなカギとなる。
そのブラジル、超攻撃的SBダニエウ・アウベスのほか、昨年の日本戦で豪快なミドルシュートを決め、強烈なインパクトを残したボランチのパウリーニョ、司令塔のオスカルら各ポジションに実力者をそろえる。そして最大の警戒を払うべき選手は、先頃移籍金74億円でバルセロナへの加入が決まったエースのネイマールだ。
過去の対戦成績は2分け7敗と圧倒されており、今回も苦戦は免れそうにない。
「初戦の相手、ブラジルとは昨年10月に対戦し、真っ向勝負をして0-4と大敗している。今回も同じような戦い方で臨み、負けてしまえば進歩がない。選手個人の差はそう短期間で埋まるものではないし、だからこそ相手をしっかり分析し、準備する必要がある」(福田氏)
だが、ホスト国として優勝が至上命題となっているブラジルの選手には想像を絶するようなプレッシャーがかかっており、若手主体のチームが本来の力を発揮できない可能性もある。
実際、チームは不調で、昨年11月にはマノ・メネゼス前監督が解任。02年日韓W杯でチームを優勝に導いたスコラリが監督に復帰したものの、その後も1勝4分け1敗と結果が出ず、最新のFIFAランキングでは19位にまで後退している。
スコラリの監督就任以降の6試合中、無失点で終えたのは唯一勝利したボリビア戦のみ。前線にタレントがそろう一方で、守備にはつけいる隙もある。特に、昨年の日本との対戦でもそうだったように、スロースターターぶりは顕著で、序盤にペースをつかみ、そこでゴールを奪えるようだと勝ち点を奪取できるチャンスも膨らむはずだ。
タレントぞろいとはいえ、かつてのロナウドやロナウジーニョらのような大物に比べると、ネイマールといえども小粒感は否めない。攻撃もそのネイマールを中心としたショートカウンターが基本なだけに、日本はコンパクトな陣形を保ち、無用にスペースを与えるようなことがなければ十分勝負できるに違いない。
もし、ブラジルから勝ち点を奪うことができれば、この8ヵ月間で組織として大きく成長したことになり、ザックジャパンの大きな自信になるだろう。
最後に、キーになる選手を福田氏に聞いた。
「強豪ぞろいのなか、日本が勝ち点を重ねるためには、やはり本田がどれくらいできるかが重要。彼は、こういう試合でこそ力を発揮するタイプで、ザッケローニのチームづくりを見れば、本田がエースであるのは間違いない。だからこそ、本田の出来不出来が結果に与える影響はかなり大きいと思う」
その本田は、「みんな期待していないかもしれないが、僕は優勝するつもり」と頼もしい発言。選手全員がこの気持ちで臨めば、コンフェデ杯は日本代表に最高の経験をもたらすはずだ。
(取材/栗原正夫 写真/益田佑一) 【関連記事】
・戦力外の選手だらけ? サッカー日本代表にも影を落とす“欧州組”の明暗
・前田の“デスゴール”で、なんと浦和レッズの女子チームが降格危機?
・セルジオ越後の一蹴両断! 第302回「本田圭佑がいないと途端に弱くなるのは監督の責任だ!」
・仕事にも役立つ! 「キング・カズの名言」
・Jリーグ改革の切り札、日本版プレミアリーグ構想とは?