Quantcast
Channel: 夕刊アメーバニュース
Viewing all articles
Browse latest Browse all 18177

シリア危機の長期化でアベノミクス好景気も吹き飛ぶ

$
0
0
緊張が続くシリア情勢に進展が見られた。16日、国連はシリア内戦で神経ガス「サリン」が使われたと断定する報告書を公表したのだ。

この報告書では、サリンを使用したのがアサド政権か反体制派かまでは言及していない。だがもし、アサド政権によるものという証拠が見つかれば、国連による何らかの制裁措置は免れないだろう。

また、アメリカとロシアは2014年半ばまでにシリアの化学兵器を廃棄させることで合意しているが、この処理が進まない場合、再びアメリカが軍事介入を示唆することも考えられる。依然として緊張状態は継続しているのだ。

もし、シリアに軍事介入が行なわれた場合、事は簡単に解決するのだろうか。軍事ジャーナリストの世良光弘氏は、「中東全体に火種が広がる可能性も否定できない」と警戒を強める。

「中東最大の反米国家であるイランは、国連安全保障理事会の決議を経ない攻撃の正当性を認めないと明言しています。アメリカがシリア攻撃を強行すれば、イランはそれを口実にイスラエルへ弾道ミサイルを発射するか、あるいはシーア派組織のヒズボラを使って、レバノンからイスラエルへロケット弾攻撃を行なうかもしれない。中東から各国へ原油を運ぶシーレーンとなっているホルムズ海峡に機雷をバラまいて“封鎖”する可能性もあります」

ホルムズ海峡が封鎖されると、日本経済も大ダメージを受ける。日本エネルギー経済研究所・中東研究センターの保坂修司氏はこう解説する。

「中東地域は日本にとって最大の原油調達先で、昨年度は全輸入量の83%を占めています。ホルムズ海峡の海運がまひすると、そのほぼ全量の供給が途絶えることになる。世界全体への供給量で見ても、紅海側の迂回(うかい)ルートで代用できる量は知れており、原油価格の“瞬間風速”は1バレル200ドルまで暴騰するのではないでしょうか。

米海軍の研究によれば、イランはホルムズ海峡を最長2ヵ月間封鎖できるそうです。そこまで長期化すれば備蓄分も相当吐き出すことになり、ガソリン価格は法外な値段になるでしょう」

中東危機の長期化が日本経済に与えるダメージについて、第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏が説明する。

「シリアが応戦するなどして戦いが長引けば、原油価格の高騰を通じて世界経済に甚大な影響が出ます。もちろん日本も例外ではなく、企業活動のコストが大幅に上がってしまう。比較的順調に円安・株高を誘引し、これからようやく賃金の上昇が期待されていたアベノミクスが吹っ飛んでしまうリスクもあります」

2020年の五輪開催に向け、長期的な好景気も期待されていた日本経済だが、全ては中東情勢がカギを握っている。 【関連記事】
シリア軍事介入でオバマ大統領は「行くも地獄、戻るも地獄」
加藤嘉一「エジプトの混乱と同様の事態は、将来の日本にも十分起こり得ます!」
元外務省・佐藤 優×国際ジャーナリスト・河合洋一郎が解読! 「緊迫するシリア情勢の裏側」
裏モノ系ライターが遭遇したイラクよりも北朝鮮よりもヤバイ現場
気鋭のエコノミスト・永濱利廣が解説「2年後、景気回復の実感が広がります!」

Viewing all articles
Browse latest Browse all 18177

Trending Articles