15日の阪神戦で、今シーズン56・57本目のホームランを放ち、1964年に巨人の王貞治氏が記録した日本プロ野球記録を更新したヤクルトのバレンティン。
11年に日本プロ野球入りしてから2年連続でセリーグの本塁打王を獲得(ともに31本)。一方で三振も多い荒削りなイメージだったが(11年はリーグ最多三振)、今シーズンは打撃技術が劇的に進化している。
今春のWBCで日本代表の投手コーチを務め、オランダ代表の4番打者・バレンティンと戦った野球評論家の与田剛氏は、今季のバレンティンを次のように評する。
「WBCでは、彼の引っ張り傾向――言い換えれば“粗っぽさ”をうまく突くべき、という対策を立てていました。ところが、シーズン開幕後の彼は、パワーに頼るだけでなく巧みさも見せるようになった。印象的なのは、中日の吉見投手から打った今季の第1号本塁打。引っ張りではなく、きれいにミートして右中間に放り込んだ打球だったんです。
バレンティンは決して“ヤマ張り”でも“引っ張り専門”でもない。イメージはあくまでもセンターからライト方向にあって、その上で甘く入ったボールを引きつけ、うまく芯でとらえて振り切っている。結果として、打球がレフトスタンドに入るものが多いということだと思います」
その証拠が、3割3分8厘というリーグトップの高打率だ(9月15日現在)。31本で本塁打王を獲得しながら打率2割2分8厘だった11年と比べると、実に1割も向上。120打点もDeNA・ブランコに次ぐ2位で、三冠王の可能性もある“巧”打者に進化している。
また、こうした打席内での進化のほかに、意外な“変化”が見られるという。
「外から見ているとわからないかもしれませんが、今季のバレンティンは集中力がみなぎっている。どうやら、それは楽天に加入したアンドリュー・ジョーンズの存在が理由らしいんです」(ヤクルト球団関係者)
ふたりは同じオランダ領アンティルのキュラソー島出身で、今春のWBCではともにクリーンアップを打った間柄。メジャー通算434本塁打の故郷の英雄ジョーンズから、何かアドバイスでも受けているのだろうか?
「というより、むしろライバル心があるみたいなんです。ジョーンズは言わずと知れたメジャーのスーパースターですが、それでも『日本球界では自分のほうが先輩』という自負があるらしい。もともとバレンティンは気まぐれな一面があったのですが、今季はジョーンズへのライバル心が集中力持続の源になっているんです」(ヤクルト球団関係者)
楽天のリーグ優勝も見えてきただけに、ライバル心も一層燃え上がっている? 10月5日の最終戦(マツダスタジアム)まで、どこまで記録を伸ばすか。 【関連記事】
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また、こうした打席内での進化のほかに、意外な“変化”が見られるという。
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ふたりは同じオランダ領アンティルのキュラソー島出身で、今春のWBCではともにクリーンアップを打った間柄。メジャー通算434本塁打の故郷の英雄ジョーンズから、何かアドバイスでも受けているのだろうか?
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