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だいすけ&松下幸司の『富士で暮らせば』Mt.10「最終回! 下山、そして70日ぶりの下界は…?」

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皆さん、こんにちは! 下界に舞い降りました松下幸司です。

そうなんです。70日間の山小屋修行を終え、8日に無事下山いたしました! 現在、東京の自宅にてパソコンのキーボードをカタカタと叩きながら記事を書いてます(なんて現代的…w)

ということで今回がほんとに最後の最後! 『富士で暮らせば』最終回もぜひお付き合い願います☆

■70日ぶりの下界へ

2013年9月8日(日)。天気、大雨――。

下山当日。窓を叩く暴風雨で目が覚めました。だいすけと顔を見合わせ「最悪だ……」と。

この日、予定では3時に起床し、頂上で御来光、そのまま下山。というのが当初の予定でした。が……やはりそこは富士山! そう甘くはありません。

振り返ること70日前。2013年6月30日(日)、登山日当日。この日もあいにくの天候でした。あ、ちなみにですけど僕は根っからの晴れ男ですよ!

ということはやっぱり……横にいる大きなカラダのおヒゲのお方が雨を降らしているとしか…苦笑。

そんなこんなで予定を180度方向転換しまして、寝ることに 笑。結局、数時間経過しても雨がおさまる気配がなかったので下山開始! と、その前に厨房から昨日の残りのカレーが……。朝カリー! サイコーです。山小屋で食す最後のカリーの味を噛みしめながら、思い出に浸りながら、いざ、下界へ!

この解き放たれた感……一歩を踏み出しただけでこの解放感……こ、これが自由…? 頭の中で尾崎豊の『Scrambling Rock’n’ Roll』が鳴り響きます。



とまぁ、五合目が近づくに連れて雨もだんだんおさまり、ついには晴れ間が! そして久しぶりに見る緑!!!

とにかくさぁ、緑の匂いが濃くて濃くて。こんなに緑の匂いを感じたのは生まれて初めてです。そしてなんと言っても空気の濃さですよ。肺の中に収まりきらない感覚って言ったらいいのかな。あふれんばかりの酸素と緑の香りがあいまって、絶妙なハーモニーを醸し出していましたね、はい。

そしてそして……本八合目から毎日チェックしていた須走口駐車場が、もう目と鼻の先に! アスファルトを踏み締めた感触と車を見た感動があいまって絶妙なハー……もういいですね。笑

五合目まで迎えに来てくれたスタッフの方の車に乗り込んでそのまま直行ですよ、直行。向かうはあそこ……ただひとつ! どこかって?

決まってるじゃないですか。あそこだ、あそこ。大浴場だ!!!!! シャワーの威力と露天風呂の温かさに……絶句。

生きてるって素晴らしい!!!!!!!!!!

■富士と暮らした1680時間

この70日間にタイトルを付けるとするならば、「シンプル イズ ベスト」だろう。

“日の出とともに起きて、日が暮れたら眠る”

実にシンプルであり、いま思うと贅沢な時間の過ごし方でもある。ってことにしておこう。余計なものが排除され、情報も遮断される。そこには精神が研ぎ澄まされていく感覚があった。

始めての1週間くらいは、いろいろと順応するのに時間がかかりました。

まずはなんと言っても気圧の問題。富士山頂でだいたい下界の約3分の2程度の気圧しかないため、とにかく息苦しかったです。最初の2、3日はろくに眠れず、夜中に何度も目が覚めたし、手や顔も気圧の影響でパンパンになってました。

それが日を追うごとに慣れ、重い荷物を運び、土木作業、あげくの果てには筋トレなんかもガンガンやっちゃうわけだから人間の適応力ってのはまぁすごいよね。



続いて直面したのは「水」の問題です。第2回でも題材にしたけれど、本当に水の尊さ、希少さを知ることになりました。

雨が降らなければ人は生きていけないってことを身をもって痛感。1週間に一度しか入れない風呂の喜びも相当なものがあったけど、終盤は1週間くらい入らなくても全くもって余裕になってる自分にもビックリだった!

ただ、やはり2週間入れなかったときはね……キツかったよ。皆だんだんイライラしてくるんだよね。で、お湯浴びてきれいサッパリになると、一変して穏やかになるってのも立証できました。あの性格のビフォーアフターは、今思い出してもすごかったよ。笑

最後に。

今回、僕がこの70日間の生活を通して、感じ得ることができた「譲り合いの精神」をお話したいと思います。

山小屋での暮らしは、常に共同作業・共同生活。同じ釜の飯を食い、同じ寝床で寝ます。もちろん自分の時間なんてものは存在しない。

この過酷で物品が充実していない環境だからこそ、人間の本質的な部分が垣間見れるどころか、むき出しになる。だからこそ余計に相手を尊重しないといけないんです。常に相手を思いやる気持ちが相手を優しくして、相手が思いやってくれるからこそ自分も優しくなれる。これの繰り返しが人間関係を構築していき、お互いに信頼し合える仲へと深まっていく。

資源を大切にするということは、人を思いやる心なんだと思います。「譲り合いの精神」がきっと人を育てていく。そんな大切なことを富士山から学びました。

そして今回のこの貴重な経験により、これからの人生において、いくつもの引き出しができたと実感しています。連載はこれで終わってしまいますが、役者・松下幸司としてこれからも精進していきますので、応援よろしくお願いします!

ありがとう! またどこかで……☆

あ、実はいま階段を早歩きで上がっても息切れしないしないんだぜ!






え? この情報いらないって?……ドロン!笑

(by 松下幸司)










■だいすけの下山

最初の頃は下界ではあり得ない山小屋での生活様式を、喜々としてお伝えしておりました。だけどこの最終回、真っ先にお伝えしたいのは、富士山八合目では絶対に言わなかったこの言葉……「蒸しあちい~~!」。はい、下山しちまっただいすけです。

登山した6月30日も、ちょいと出演させていただいた『24時間テレビ』の日も雨。そしてしっかり下山も雨。

自分? こーじ? 確実にどっちかが“雨男”。ま、自分は“晴れ男”なんでね、小さい頃から近所でも有名ですけど。しかし、この日は雨というより嵐でした。横殴りの雨に、このデカい体が吹き飛ばされそうなくらいの突風。

下山前に山頂で参拝して帰る予定が丸ごと吹っ飛び。レインウエアの意味もなく、さらにその上から被ったゴミ袋はただの悪ふざけにしか見えず。転がって下山でもすれば「あ。なるほどのゴミ袋使用」と思っていただけたのか。とにかく、最後までふたりを甘やかさない、ビッグママ・富士山。気を緩ませるな、慎重に下りなさいと僕らのケツを叩き、見守る。









そんなビッグママ・富士山は70日ぶりに下界に戻るふたりを見放さなかった。七合目を過ぎたあたりから希望の光……ううん、僕らにとっては“栄光の光”。

間違いなく下界は僕らを歓迎してくれている。めっぽうこういう光系の、神秘系のシチュエーションに弱い僕は「こーじ! 後戻りはやめよう。前に、いや下に進むだけだ!」と、別に後戻りをしたいとも言っていない、なんなら僕より前向きなこーじを前のめりで勇気づける。













でも本当は誰かを励ます余裕などないほど下山はつらすぎた。膝は子鹿のように震え、太もも、ふくらはぎが痛い。70日以上、まともに運動していないツケかな……て、なまけた生活してたわけじゃあるまいし。

そんなこと考えてひたすら下りました。気づけば車が見え、道路が見え。ありえないくらいうれしかった。なんせ、見たくても見られなかったので。無事五合目着! お決まりの「下ったど~!」



五合目に着いて、すぐ食べたのはソフトクリーム。ちゅめたくておいしい~。ありがたい甘さ。



■贅沢すぎる現実

確か。山小屋生活がスタートして10日目あたりには、あれが欲しいとかこれが食べたいとか、欲がなくなったとご報告したはず。でも「それは今だけ」と正直に言ったはず。ね? だから食べでもいいね?

満腹になった腹と頭で思ったこと。こうして望む物は不自由なく出てくる僕らの暮らし。欲は尽きない。それは「有る」ことを知っているから。でも山小屋では逆だった。「無い」ことを知っていた。だから「無い」ものを欲しがらなくなった。



ものすっごくシンプルなことで。「限り」があると知っていたから「有る」ものは大切に、ありがたく使っていた。

例えば富士山で一番教えられたのは水の大切さ。食器を洗うときには1滴さえ惜しみ、雨が降りお風呂に入れる日はそれだけで幸せだと心から思えた。自宅に戻ったこの生活でも、今なら必要最低限の水で暮らせる自信あり。

70日間の山小屋生活は、別にわざわざ経験する必要などないだろうけども、経験したいからって誰もができるわけでもなく。だって「どうしても山小屋で働きたいのですっ!」と頑張って踏ん張って登ってきても、高山病だとかで適応できない場合もございますし。そう思えば70日間、無事に暮らせた僕はツイてる男でした。

プライベートもなく、娯楽もなく、欲も消えてた山小屋生活。自分の時間に捕らわれることがないから、周りの人の顔がよく見えた。娯楽がないから、人とたくさん話したし、知らない人の言葉も大切に聞きたいと思った。

欲が消えたから、ありがたみを知った。何かを欲しいと望んでばかりいる頃より、気持ちがずっと楽だった。こんな日々に人間の原点があると感じてました。これからの役者人生で最高の糧となるかどうかは、すべて僕次第。

時間に追われ、仕事に追われる生活がまたスタート。すいません、見栄張りました。そこそこ時間や仕事に追われる生活に戻りました。きっと飽きもせずに、毎日毎日、喜んだり落ち込んだりします。自信失ったりもします。

そんなときは、希望の御来光、癒しの夕暮れ、ロックな雷様、可憐な山ガール、そして世界遺産・富士山での生活をそっと思い出します。

頑張れるはず。そしていつの日か余裕満面の笑みを浮かべた“御来光スター”として戻ってきます。それまで皆さんもお元気で。本当にありがとうございました。じゃあ、またっ!

(by だいすけ)














●松下幸司(まつした・こうじ)







1982年3月21日生まれ、和歌山県出身。01年に「men’s egg」モデルとしてデビュー。「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(フジテレビ)、映画「くれないの盃」「タナトス」、舞台「走れ!新九郎」などに出演

●だいすけ






1982年7月21日生まれ、神奈川県出身。Men’s non-no「TBC広告」、花王「サクセス」などCMのほか、舞台「シャバダバ」、映画「てやんDays」などに出演。調理師免許を保有

■ブログ「だいすけ、松下幸司のさすらいの“山男2人組”富士山本八合目奮闘記」【http://046.holidayblog.jp/】

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