今秋から徐々に拡大していくLINEの新事業に注目が集まっている。
そのひとつがスマホ専用のショッピングサービス「LINE MALL(ライン・モール)」だ。強力なライバルがひしめくショッピングモールに参入して、はたしてうまくいくのか? IT業界に精通し、関連著書多数の山本一郎氏は厳しい予測を立てる。
「まずLINEが持っているユーザー層は若年層がボリュームゾーンで客単価は低い。また既存のビジネスの延長線上で見たときLINEには仕入れや告知などのノウハウが整っていない。仕入れや在庫を仕切れるほどのビジネスに突っ込んでいかない以上、すでにあるイオングループのような企業と提携しながら事業を進めていくほか方法はない。となると、LINE MALLが本来目指すべき成功の水準まで到達するのはちょっと難しいのでは?」
一方で、善戦を予想する声も。ITジャーナリストの新清士氏は「親会社のNHNが運営する検索エンジン、NAVERがカギ」であると指摘する。
「臆測の域を出ませんが、LINEの場合、NAVERがユーザーはどんな発言をしているか解析しているはずです。検索エンジンでユーザーの単語を拾っていくと、ユーザーがどんな関心を持っていて、どんな活動をしているか解析できるわけです。
その上でLINEがeコマース(電子商取引)を持つと、ユーザーが求めているものを解析して提案していくこともできる。アマゾンの『この商品を買った人はこんな商品も買っています』ってアレですね。グループチャットしている人が関心のありそうな商品をオススメする。モノを売るという点では非常に優位な立場にある」
すると、LINE MALLはスマホにおけるアマゾンや楽天という存在になれる?
「それはちょっと早すぎる(笑)。むしろ最大の敵はアップルとグーグルですね。特にグーグルにOS上でeコマースを把握されると、LINEが持っている一番おいしい情報を持っていかれる可能性があるわけです。ポイントは、いかにグーグルに情報を把握されないで、独自のプラットフォームを構築できるかってこと。そこをLINEは突いてきた。LINEはLINEの中のユーザーのチャット情報を握ることで、グーグルに捕捉されない情報ネットワークを作り上げようとしている。
また、スタンプなどを購入する際、App Store/Google Playによるアプリ内決算に頼っていたのですが、9月公開予定の『LINE Web Store』からも購入することができるようになる。これはスマホでアップルが通信キャリアのコンテンツ収益を奪い、通信キャリアを“土管化”したように、今度はLINEが、アップルとグーグルからコンテンツ収益を奪いOSを“土管化”しようとしていることになる。今後、グーグルやアップルからの風当たりは強くなるでしょう」(新氏)
はたしてLINEは、IT業界の巨人と渡り合うことができるのか?
(取材/鈴木英介) 【関連記事】
・LINEが新規事業に参入するオトナの事情
・日本全土が、アップルの下請け工場になっている
・ケータイキャリア3社で「営業利益2兆円」のカラクリ
・リンゴとキムチ。アップルとサムスンの購買層の違いとは?
・アップルのアプリ審査担当者“デービッド”って誰?
そのひとつがスマホ専用のショッピングサービス「LINE MALL(ライン・モール)」だ。強力なライバルがひしめくショッピングモールに参入して、はたしてうまくいくのか? IT業界に精通し、関連著書多数の山本一郎氏は厳しい予測を立てる。
「まずLINEが持っているユーザー層は若年層がボリュームゾーンで客単価は低い。また既存のビジネスの延長線上で見たときLINEには仕入れや告知などのノウハウが整っていない。仕入れや在庫を仕切れるほどのビジネスに突っ込んでいかない以上、すでにあるイオングループのような企業と提携しながら事業を進めていくほか方法はない。となると、LINE MALLが本来目指すべき成功の水準まで到達するのはちょっと難しいのでは?」
一方で、善戦を予想する声も。ITジャーナリストの新清士氏は「親会社のNHNが運営する検索エンジン、NAVERがカギ」であると指摘する。
「臆測の域を出ませんが、LINEの場合、NAVERがユーザーはどんな発言をしているか解析しているはずです。検索エンジンでユーザーの単語を拾っていくと、ユーザーがどんな関心を持っていて、どんな活動をしているか解析できるわけです。
その上でLINEがeコマース(電子商取引)を持つと、ユーザーが求めているものを解析して提案していくこともできる。アマゾンの『この商品を買った人はこんな商品も買っています』ってアレですね。グループチャットしている人が関心のありそうな商品をオススメする。モノを売るという点では非常に優位な立場にある」
すると、LINE MALLはスマホにおけるアマゾンや楽天という存在になれる?
「それはちょっと早すぎる(笑)。むしろ最大の敵はアップルとグーグルですね。特にグーグルにOS上でeコマースを把握されると、LINEが持っている一番おいしい情報を持っていかれる可能性があるわけです。ポイントは、いかにグーグルに情報を把握されないで、独自のプラットフォームを構築できるかってこと。そこをLINEは突いてきた。LINEはLINEの中のユーザーのチャット情報を握ることで、グーグルに捕捉されない情報ネットワークを作り上げようとしている。
また、スタンプなどを購入する際、App Store/Google Playによるアプリ内決算に頼っていたのですが、9月公開予定の『LINE Web Store』からも購入することができるようになる。これはスマホでアップルが通信キャリアのコンテンツ収益を奪い、通信キャリアを“土管化”したように、今度はLINEが、アップルとグーグルからコンテンツ収益を奪いOSを“土管化”しようとしていることになる。今後、グーグルやアップルからの風当たりは強くなるでしょう」(新氏)
はたしてLINEは、IT業界の巨人と渡り合うことができるのか?
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