現在、各国との間で交渉が進んでいるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。その懸案事項のひとつが、日本の保険制度だ。
厚生労働省の現役キャリア官僚、M氏は「アメリカは日本の皆保険制度をブッ壊そうと企んでいます。その狙いは、アメリカの製薬会社や保険会社に日本で大儲けさせることです」と警鐘を鳴らす。その手順は以下の通り。
まず、米韓FTAにならって、知的財産権の保護が強化される。新薬の特許の有効期限も大幅に延長されて、価格が現状のように厚生労働省主導ではなく、製薬会社が好き勝手に決められるようになる。知的財産権は最先端の医療技術にも適用されるので、手術費や最新医療機器を使用した検査費用も高騰するのは間違いない。
「さらにアメリカは従来の皆保険枠に加え、公的保険適用外の最先端治療を選択できる自由を日本人にも与えるべきという“表向きの理由”で、混合診療の解禁をするよう圧力をかけてきます」(M氏)
混合診療解禁の狙いは保険会社の利益を大幅にアップさせること。アメリカの保険会社は、いったん混合診療枠に入った新薬の処方や先端治療は、月日がたっても絶対に皆保険枠に入れないようなルールをつくらせるとM氏は予測する。
「こんなことが達成されると、いったいどうなるのか? 仮にこのルール変更が20年前に行なわれたと考えてみてください。現代の医療では必要不可欠な存在となったCTスキャンの使用料も、皆保険枠には入らないのです。タミフルのようなインフルエンザに対して絶大な威力を発揮する医薬品も皆保険枠には入らない。
つまり、お金がなければCTスキャンで検査も受けられないし、インフルエンザにかかっても特効薬を服用できないようなことが、この先起こるのです。体力のない子供や老人たちがインフルエンザでバタバタと死んでしまう事態が、すぐそこに迫っていると言えるでしょう」(M氏)
当然、日本国民は非難の声をあげるはずだが、それを押さえつけるための“秘策”もアメリカにはあるという。某外資系金融機関のエコノミスト、T氏が言う。
「アメリカの保険会社が“陰のスポンサー”となり、悲惨な内容のドラマや映画、ドキュメンタリー番組などを制作して日本人に見せ続けるのです。無保険者が急病にかかり高額な医療費で破産に追い込まれ、家を売り、子供は学校をやめることになりグレてしまうとか、そんな内容で恐怖心を植えつけ、高額な保険に加入させ、日本人から富を吸い上げる戦略なのです」
日本人にとっては、医療は福祉であるという概念だが、アメリカ人にとってはビジネス以外の何物でもない。マイケル・ムーア監督がアメリカの悲惨な医療の実態を描いたドキュメンタリー映画『シッコ』のような世界が、われわれ日本人にも降りかかってくる。
(取材/菅沼 慶) 【関連記事】
・米韓FTAで、韓国は“アメリカの植民地”になった
・日本のがん保険は、すでにアメリカに制圧されている
・民間のがん保険や医療保険は入る必要がない?
・公的年金制度が破綻するリスクはないのか?
・森永卓郎が嘆き、怒る!「消費増税で日本は低福祉・重税国家になり、庶民は切り捨てられる」
厚生労働省の現役キャリア官僚、M氏は「アメリカは日本の皆保険制度をブッ壊そうと企んでいます。その狙いは、アメリカの製薬会社や保険会社に日本で大儲けさせることです」と警鐘を鳴らす。その手順は以下の通り。
まず、米韓FTAにならって、知的財産権の保護が強化される。新薬の特許の有効期限も大幅に延長されて、価格が現状のように厚生労働省主導ではなく、製薬会社が好き勝手に決められるようになる。知的財産権は最先端の医療技術にも適用されるので、手術費や最新医療機器を使用した検査費用も高騰するのは間違いない。
「さらにアメリカは従来の皆保険枠に加え、公的保険適用外の最先端治療を選択できる自由を日本人にも与えるべきという“表向きの理由”で、混合診療の解禁をするよう圧力をかけてきます」(M氏)
混合診療解禁の狙いは保険会社の利益を大幅にアップさせること。アメリカの保険会社は、いったん混合診療枠に入った新薬の処方や先端治療は、月日がたっても絶対に皆保険枠に入れないようなルールをつくらせるとM氏は予測する。
「こんなことが達成されると、いったいどうなるのか? 仮にこのルール変更が20年前に行なわれたと考えてみてください。現代の医療では必要不可欠な存在となったCTスキャンの使用料も、皆保険枠には入らないのです。タミフルのようなインフルエンザに対して絶大な威力を発揮する医薬品も皆保険枠には入らない。
つまり、お金がなければCTスキャンで検査も受けられないし、インフルエンザにかかっても特効薬を服用できないようなことが、この先起こるのです。体力のない子供や老人たちがインフルエンザでバタバタと死んでしまう事態が、すぐそこに迫っていると言えるでしょう」(M氏)
当然、日本国民は非難の声をあげるはずだが、それを押さえつけるための“秘策”もアメリカにはあるという。某外資系金融機関のエコノミスト、T氏が言う。
「アメリカの保険会社が“陰のスポンサー”となり、悲惨な内容のドラマや映画、ドキュメンタリー番組などを制作して日本人に見せ続けるのです。無保険者が急病にかかり高額な医療費で破産に追い込まれ、家を売り、子供は学校をやめることになりグレてしまうとか、そんな内容で恐怖心を植えつけ、高額な保険に加入させ、日本人から富を吸い上げる戦略なのです」
日本人にとっては、医療は福祉であるという概念だが、アメリカ人にとってはビジネス以外の何物でもない。マイケル・ムーア監督がアメリカの悲惨な医療の実態を描いたドキュメンタリー映画『シッコ』のような世界が、われわれ日本人にも降りかかってくる。
(取材/菅沼 慶) 【関連記事】
・米韓FTAで、韓国は“アメリカの植民地”になった
・日本のがん保険は、すでにアメリカに制圧されている
・民間のがん保険や医療保険は入る必要がない?
・公的年金制度が破綻するリスクはないのか?
・森永卓郎が嘆き、怒る!「消費増税で日本は低福祉・重税国家になり、庶民は切り捨てられる」