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観測史上最高の噴煙! 鹿児島市内に降り注いだ桜島のドカ灰の後始末

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8月18日夕方、桜島の昭和火口で爆発的噴火が発生。観測史上最高となる高さ約5000mの噴煙が上がり、大量の火山灰が鹿児島市内に降り注いだ。

京都大学防災研究所火山活動研究センターの推計によると、火山灰の噴出量は通常の10倍近い約15万t。翌19日には、鹿児島市の中心街・天文館周辺にロードスイーパー(清掃車両)や散水車約60台が出動し、大がかりな降灰除去作戦が行なわれた。

いくら“火山灰慣れ”した鹿児島市民といえども、今回の“ドカ灰”にはさすがにウンザリしているはず。記者はそう予想していたのだが……、現地で市民の声を聞いてみると、実に拍子抜けするものばかり。

「そんなに騒ぐほどのことじゃなか。ニュース番組で、すっごい暗いBGM流して、深刻な表情で伝えとったリポーターもおったけど、まったく鹿児島のことをわかっとらん! 俺らからすれば、ちょっとだけ灰が多く降った程度だがね」(市内在住の40代男性)

「鹿児島の夏に灰は降るものよぉ。それに去年や一昨年のほうが灰はヒドかったよぉ。今年は全然マシなほう」(天文館文化通りの飲食店で働く20代女性)

誰に聞いても「こんなことでわざわざ鹿児島まで来たの?」と言わんばかりの反応。一様に観測史上最高の噴煙に襲われたとは思えぬ“平常運転モード”ぶりなのだ。

鹿児島地方気象台の担当者もこう話す。

「18日の爆発は中規模噴火。決して大規模噴火などではありません。確かに、通常の10倍程度の噴出量でしたが、大噴火というのは大正3年(1914年)の(死者58名を出した)大正大噴火レベルのものをいいます。ええ、規模が全然違うんですよ」

大正大噴火での総噴出物量は約32億tだといわれている。約1ヵ月間の総量とはいえ、今回の15万tとはモノが違う。ゆえに、大したことがないというわけだ。






また、大正大噴火と比べなくとも、70年代から90年代半ばまで、現在の数倍以上の噴出量だった時期があったり、また、ここ4、5年は降灰量が右肩上がりで増えていることもあったりするので、鹿児島っ子は少々のドカ灰では動じないというわけだ。

ちなみに、18日の爆発的大噴火以降も、桜島は火山灰を大放出。連日、2000、3000m級の大噴煙を上げている。

降っても、降っても、まだ降りやまぬ火山灰。そのため、今回に限らずドカ灰のあった翌日は清掃車と散水車を走らせ、町を清掃するのが常だ。また、市民にも市から各家庭に「克灰袋(こくはいぶくろ)」が配布され、自宅周辺にたまった灰をぎゅうぎゅうに詰め、指定置場に運ぶといった、他地域ではあり得ないルーティンが存在する。

そして、ここ4、5年、降灰が右肩上がりで増加傾向が続いていることを受け、一部市民からは「これだけ灰が降ると、処分業者はかなり儲けているのでは」「処分業者にとって、降灰は空から金が降ってくるようなもの」といった声も聞こえてきた。

そこで鹿児島市の降灰処分を担当する業者に話を聞くと……。

「全然そんなことはないです(苦笑)。火山灰処理の単価はものすごく安いし、処分するにも費用がかかり、回収量が増えてもそこまで儲かるわけではありません」(フタマタ開発・森田俊哉氏)

一方、火山灰は処分されるだけでなく、近年では商品化など再利用する動きもある。せっけんや洗顔クリームなど火山灰を含んだ美容化粧品も数多く発売されるほか、鹿児島市と桜島を挟んで対岸にある垂水(たるみず)市では約2年前から火山灰そのものを缶詰に詰め、100円で土産品として販売している。

「市役所の屋上にたまったものを市の職員が集めて缶詰にしているだけで、まったく特別な灰ではありませんが、現在までに3万1000個以上を売る、そこそこのヒット商品となっています」(垂水市役所水産商工観光課)

他県民ドン引きレベルのドカ灰に動じない平常心に、この商魂。鹿児島っ子、あっぱれ。

(取材・文/コバタカヒト) 【関連記事】
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