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愛し合う2人だって、ときには問題を抱えて言い争いをしてしまうものです。悪いことのように感じますが、相手に不満を訴えるのは一概にネガティブな話ではありません。
怒りなどの「自分の感情」と本質的な原因である「真の問題」を分別して、順序立てて話してみましょう。議論がより生産的になり、2人が抱えている問題を解決できるはずです。これからも仲良く、愛情を持って付き合っていくための問題解決法を紹介します。
いつも問題は2つある:「自分の感情」と「真の問題」

恋人に怒りを感じるとき、大抵そこには2つの問題が存在しています。それは「自分の感情」と「真の問題」です。
たとえば、相手が皿洗いをしてくれないことに、あなたが不満を感じているとします。そこには「あなたの怒りを静めること」と「お皿をきれいにすること」の2つの問題が存在しているわけです。
「頼むからすぐに皿を洗ってくれない!?」と相手を罵る前に、自分が前向きな話し合いをできるかどうか振り返ってみてください。
怒りの矛先が恋人に向かっているのなら、今は不満を切り出すには最悪のタイミングです。その不満は言うべきタイミングまで取っておきましょう。
このことは心理学系メディア「Psychology Today」にも書かれています。
心理学者のLerner博士は「ジレンマへの対処方法でもめて、カップルのどちらか(または双方)が感情的になっているときは、話し合いを中断し、落ち着く時間を取ることが必要だ」と言っています。
「怒りは重要な感情ですが、冷静な思考力が欠けてしまうほどの気分に陥ってしまっては、共感やクリエイティブな問題解決は望めません」
議論を生産的にするためには、両者が相手の意見に耳を傾け、相手を非難せず、自分の心配事を打ち明けられるような落ち着いた状態で臨むのが、何よりも大切なのです。
もちろん、不満がたまって怒りが爆発するのは、至って普通のことです(何の対策もせずに問題について考えを巡らせるのは怒りを助長するだけですが)。あなたの感情「にも」対策が必要であることを受け入れ、実際の議論と分けて考えることで、問題解決の舞台が整うのです。
まずは「自分の感情」を解決するのが最優先
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誰しも、怒りを静めるための自分なりの方法を持っているはずです。
今にも恋人とケンカになりそうなときには、自分のストレスに向き合うための時間を取ってください。散歩に行く、大音量で音楽を聴く、怒りを紙に書き出して破り捨てるなど、何でも構いません。
1人になれる方がいいですが、難しければその場で深呼吸を1回するだけでも構いません。相手にも、同様の時間を与えたほうがよいでしょう。
あらかじめ、あなたのストレス対処法を相手に伝えておくのも効果的です。足を踏み鳴らしたり、聞こえないような声でブツブツと文句を言ったりするのは最悪です。「ふん」と吐き捨てるよりも、「ちょっと歩いてくる。またすぐに話そう」と言うようにしましょう。
いちばん大事なのは、心が落ち着いたら必ず戻ってくること。ケンカが勃発したら、必ず前述の2つの問題「両方」に対処しなければなりません。心を落ち着けることで「自分の感情」は解決できますが、もう1つの「真の問題」はまだ消えていないのです。
気持ちを落ち着けたら「真の問題」に向き合う
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心が落ち着いたら真の問題に「理性的」に向き合いましょう。今やあなたは、自分の戦い方をうまく選べるはずです。
心を落ち着けた後の議論では、恋人との協力的なアプローチを心がけましょう。問題を対立的なものにしてしまうと2人の間に壁ができ、幸せな関係は遠ざかってしまうのです。「Psychology Today」には次のように載ってます。
どんな種類であれ、ケンカとは相手に敵対的な立場をとることを意味します。つまり、どちらかが勝ち、どちらかが負けるという図式が成立するのです。
一方で、協力的な関係とは寄り添って問題を解決することを意味します。どれほど繊細で難しい問題でも、協力的な議論では双方が相互理解を求めるのです。
両者ともに相手の意見に理解を示しながら、自分の心配事を打ち明けます。同じように理解を深めることで進む道が開けると信じて、話し合いを続けるのです。
話し合いが済んだら必ず行動に移しましょう。コミュニケーションによって相手との絆をより深く感じられるようになりますが、何もしなければ、1週間もしないうちに同じ議論を繰り返すことになるでしょう。
それぞれの改善点が明確になったら、良い習慣を身につけるための方法を実践してみます。記憶に頼らず、恋人があなたに何を望んでいるか、あとで振り返るのも大切です。
そして、最後には仲直りをする
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あなたは怒りを乗り越え、心を落ち着けることに成功し、話し合いをしました。最終的には改善のための計画も立てました。これで万事OKでしょうか?
そうかもしれません。確かにここですべてを終わりにしても、ただの罵り合いよりはいい結果が得られるでしょう。でも、これを習慣にしたければ自分にご褒美を与えるのがおすすめです。
抱きしめる、映画を一緒に見る、仲直りのセックスをするなど、ケンカをハッピーに終わらせる方法はたくさんあります。とにかく、相手と一緒にいることが楽しくてお互いが幸せになれるのが理想です。2人の間で健全な議論が行われたのであれば、一緒にいられることがご褒美になるはずです。
陳腐だと思うかもしれませんが、建設的な行動をご褒美にするという方法は自分や他人を自己改善へと導くための基本です。
それに、「怒ったまま寝るべからず」ということわざは、科学的にも証明されています。怒らずに寝るだけでもいいですが、できれば明日への希望で胸が満ち足りた気持ちで眠りに就きたいものですね。
Eric Ravenscraft(原文/訳:堀込泰三)
Photos by Martha Soukup, Melissa O'Donohue, and Ed Yourdon.
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