全盛期には全国で300軒近くあったといわれるストリップ劇場。
しかし1985年の風営法改正以降に閉館が相次ぎ、経営難や踊り子不足、風営法とのギリギリのせめぎ合いの中でなんとか生き残ってきたが、現在はわずか26劇場に激減(2015年11月号の風俗情報誌『俺の旅』調べ)。
そして今、新宿区役所の真横に立地し、38年の歴史を持つ歌舞伎町の老舗劇場『TSミュージック』が立ち退きを求められ、ビルの大家と法廷論争中だという。(前回記事→「新宿・歌舞伎町の老舗ストリップ劇場が廃業危機!」)
その存続問題も目を離せないが、そもそも消えゆくストリップ劇場の灯…。そこで、アツいファン(通称“応援さん”)達にTSミュージックの魅力はもちろん、裏文化遺産へのアツい思いを聞いてみた。
まずは場内の後方でタンバリンをかき鳴らす、通称“タンバさん”(踊り子の流す音楽に合わせタンバリンでリズムを刻む人のことを呼ぶ)こと50代男性から。
「ステージのデベソ部分(ステージ中央の花道の先の円状の台)にポールがあるのは全国の劇場でもここだけ。日本のポールダンスの先駆けだよ! この舞台からいろんな踊り子が生まれたんだ。これなくしちゃダメだろう!」
また、隣でカスタネットをならす通称“カスタさん”(60代)も叫ぶ。
「俺らオッサン同士がさー、踊り子さん達の音楽に合わせてリズムが刻めるように必死に練習するわけ。もう何年も日課のささやかな楽しみ取らないでよぉ」
そんな中、一段とアツい視線でコチラを見つめているのは…通称“レポ屋”(ブログなどでストリップ劇場のレポートを書くヒト)ことゴルゴ十三ミュージック氏。元々、ソープ好きだったが3年前からストリップにハマり、ストリッパーの矢沢ようこさんを追いかけ全国巡業するツワモノだ。
―ゴルゴさん、まずはTSミュージックの魅力からどうぞ!
「日本のストリップ小屋にしては珍しくポールがあり、アメリカのショーパブ感も味わえるのがいいですね。ピンクの電飾もそれっぽいですし。あの黄色いベンチ椅子に座ると、狭さもあり、コクピットに入ったような感覚で観劇に集中できますね。あと、他劇場に比べ、出演する踊り子さんの数が多く、開演時間が早いのも魅力です」
―そもそもはソープ好きがなぜハマったのでしょう?
「僕は10年間ソープ通いし“ソープとはなんぞや?”という問いの答えが出てしまった。そんな3年前の元旦にですよ、ソープですら休みなのにストリップ劇場はやっていた。そこで同じ歌舞伎町にあるDX歌舞伎町に行ったのですが、初ストリップを目の当たりにして雷が落ちましたね。女のコが真剣にダンスや演劇に取り組み、裸まで見られる。こんなステージ、他にありませんよ!」
―時代の移り変わりとともにストリップの魅力も変わってきたのでは?
「はい。80年代中頃までの全盛期は“本番まな板ショー”といって、劇場内でジャンケンに勝った人が踊り子とのセックスを勝ち取る場だった。時にはポニーが出演する“獣姦ショー”なんてのもありました。でも今ではそんなことをしている劇場は皆無。より女のコが生き生きと自発的にパフォーマンスをする方向性に変わっているわけです!」
―生き生きとパフォーマンスをする方向性とは?
「昔の踊り子の中にも本気の方はいたと思うのですが、今と違って本番もあったりで“やらされている感”が強い踊り子は多かったと思うのです。しかし今では踊りがメインとなっているため、踊り子自身がお客様に見せたい世界観を舞台上で最大限に発揮する。ただ裸になるためのショーではなく、より自分ならではのアートを追求しようと生き生きとしているんですよ」
―ちなみに矢沢ようこさんの魅力とは…?
「なんといってもスタイルのよさ、想像を超えた色気、そして笑顔ですね。彼女は女性美の見せ方を知り抜いています。僕はようこさんを追っかけ、北は『仙台ロック座(宮城県)』、南は『A級小倉劇場(福岡県)』まで行きましたが、見るたびに幸せな気分にさせられるというか、華があって飽きることがありません。
また、性格も非常にフレンドリーで、その土地土地で人気を博してましたね。ステージ中、僕を笑顔で見つめてくれたり、流し目で微笑んでくれたりするんです」
―それは冥利に尽きます!(思い込みだとしても…)
「そうです(キラキラした目で)! しかも目と目で会話するんですから。もうタマらないですね。!!」
―あと、タンバさんだのカスタさんだの、他のファンの皆さんの熱量もハンパないですよね。
「そうですね、ファン同士の連帯感はあります。みんな、なんとかしてこの消えゆく灯火を消さないよう燃え盛ってる感じです」
―でも実際、劇場の減少とともに踊り子やファンも減少していますよね?
「そうですね。新しい踊り子さんの次世代スターはなかなか出てきていない状況ですし。今年5月にHIKARUさんという15年選手のストリッパーさんの引退式をやった時は全国から数百人のファンが集まり劇場の外まで大行列でしたけど…。ファンも30代は若いほうで40代半ばから80代がメイン層ですから」
―このままストリップ文化は消えゆくのか…?
「いえ、浅草ロック座はフランス・パリの観光ナイトスポット“クレイジー・ホース”(※)を目指していると聞きますし、日本のストリップ劇場が目指すものは大衆芸能。ただ裸になるだけじゃない、演目ひとつひとつにタイトル、構成、物語がある。女性の裸の美しさや力強さを感じさせてくれる。決してエロだけにくくれない凄みを感じられる文化なんです!」
うーむ…。TSミュージックの存続は裁判の結果に委ねるしかないが、まさに転換期を迎えているこの世界に、今こそ足を踏み入れてみるのもありかもしれない…。
※クレイジー・ホース
1951年にフランス・パリで創業された世界的に有名なキャバレー。テーマは女性のヌードショーでありながら芸術性を伴ったストリップショー。踊り子達の舞台裏などが描かれた映画化もされている。
(取材・文・撮影/河合桃子) 【関連記事】
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しかし1985年の風営法改正以降に閉館が相次ぎ、経営難や踊り子不足、風営法とのギリギリのせめぎ合いの中でなんとか生き残ってきたが、現在はわずか26劇場に激減(2015年11月号の風俗情報誌『俺の旅』調べ)。
そして今、新宿区役所の真横に立地し、38年の歴史を持つ歌舞伎町の老舗劇場『TSミュージック』が立ち退きを求められ、ビルの大家と法廷論争中だという。(前回記事→「新宿・歌舞伎町の老舗ストリップ劇場が廃業危機!」)
その存続問題も目を離せないが、そもそも消えゆくストリップ劇場の灯…。そこで、アツいファン(通称“応援さん”)達にTSミュージックの魅力はもちろん、裏文化遺産へのアツい思いを聞いてみた。
まずは場内の後方でタンバリンをかき鳴らす、通称“タンバさん”(踊り子の流す音楽に合わせタンバリンでリズムを刻む人のことを呼ぶ)こと50代男性から。
「ステージのデベソ部分(ステージ中央の花道の先の円状の台)にポールがあるのは全国の劇場でもここだけ。日本のポールダンスの先駆けだよ! この舞台からいろんな踊り子が生まれたんだ。これなくしちゃダメだろう!」
また、隣でカスタネットをならす通称“カスタさん”(60代)も叫ぶ。
「俺らオッサン同士がさー、踊り子さん達の音楽に合わせてリズムが刻めるように必死に練習するわけ。もう何年も日課のささやかな楽しみ取らないでよぉ」
そんな中、一段とアツい視線でコチラを見つめているのは…通称“レポ屋”(ブログなどでストリップ劇場のレポートを書くヒト)ことゴルゴ十三ミュージック氏。元々、ソープ好きだったが3年前からストリップにハマり、ストリッパーの矢沢ようこさんを追いかけ全国巡業するツワモノだ。
―ゴルゴさん、まずはTSミュージックの魅力からどうぞ!
「日本のストリップ小屋にしては珍しくポールがあり、アメリカのショーパブ感も味わえるのがいいですね。ピンクの電飾もそれっぽいですし。あの黄色いベンチ椅子に座ると、狭さもあり、コクピットに入ったような感覚で観劇に集中できますね。あと、他劇場に比べ、出演する踊り子さんの数が多く、開演時間が早いのも魅力です」
―そもそもはソープ好きがなぜハマったのでしょう?
「僕は10年間ソープ通いし“ソープとはなんぞや?”という問いの答えが出てしまった。そんな3年前の元旦にですよ、ソープですら休みなのにストリップ劇場はやっていた。そこで同じ歌舞伎町にあるDX歌舞伎町に行ったのですが、初ストリップを目の当たりにして雷が落ちましたね。女のコが真剣にダンスや演劇に取り組み、裸まで見られる。こんなステージ、他にありませんよ!」
―時代の移り変わりとともにストリップの魅力も変わってきたのでは?
「はい。80年代中頃までの全盛期は“本番まな板ショー”といって、劇場内でジャンケンに勝った人が踊り子とのセックスを勝ち取る場だった。時にはポニーが出演する“獣姦ショー”なんてのもありました。でも今ではそんなことをしている劇場は皆無。より女のコが生き生きと自発的にパフォーマンスをする方向性に変わっているわけです!」
―生き生きとパフォーマンスをする方向性とは?
「昔の踊り子の中にも本気の方はいたと思うのですが、今と違って本番もあったりで“やらされている感”が強い踊り子は多かったと思うのです。しかし今では踊りがメインとなっているため、踊り子自身がお客様に見せたい世界観を舞台上で最大限に発揮する。ただ裸になるためのショーではなく、より自分ならではのアートを追求しようと生き生きとしているんですよ」
―ちなみに矢沢ようこさんの魅力とは…?
「なんといってもスタイルのよさ、想像を超えた色気、そして笑顔ですね。彼女は女性美の見せ方を知り抜いています。僕はようこさんを追っかけ、北は『仙台ロック座(宮城県)』、南は『A級小倉劇場(福岡県)』まで行きましたが、見るたびに幸せな気分にさせられるというか、華があって飽きることがありません。
また、性格も非常にフレンドリーで、その土地土地で人気を博してましたね。ステージ中、僕を笑顔で見つめてくれたり、流し目で微笑んでくれたりするんです」
―それは冥利に尽きます!(思い込みだとしても…)
「そうです(キラキラした目で)! しかも目と目で会話するんですから。もうタマらないですね。!!」
―あと、タンバさんだのカスタさんだの、他のファンの皆さんの熱量もハンパないですよね。
「そうですね、ファン同士の連帯感はあります。みんな、なんとかしてこの消えゆく灯火を消さないよう燃え盛ってる感じです」
―でも実際、劇場の減少とともに踊り子やファンも減少していますよね?
「そうですね。新しい踊り子さんの次世代スターはなかなか出てきていない状況ですし。今年5月にHIKARUさんという15年選手のストリッパーさんの引退式をやった時は全国から数百人のファンが集まり劇場の外まで大行列でしたけど…。ファンも30代は若いほうで40代半ばから80代がメイン層ですから」
―このままストリップ文化は消えゆくのか…?
「いえ、浅草ロック座はフランス・パリの観光ナイトスポット“クレイジー・ホース”(※)を目指していると聞きますし、日本のストリップ劇場が目指すものは大衆芸能。ただ裸になるだけじゃない、演目ひとつひとつにタイトル、構成、物語がある。女性の裸の美しさや力強さを感じさせてくれる。決してエロだけにくくれない凄みを感じられる文化なんです!」
うーむ…。TSミュージックの存続は裁判の結果に委ねるしかないが、まさに転換期を迎えているこの世界に、今こそ足を踏み入れてみるのもありかもしれない…。
※クレイジー・ホース
1951年にフランス・パリで創業された世界的に有名なキャバレー。テーマは女性のヌードショーでありながら芸術性を伴ったストリップショー。踊り子達の舞台裏などが描かれた映画化もされている。
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